1. 中小企業の売掛金等に対する貸倒損失の損金算入特例規 定の新設(施行令改正案第19条の2第1項第9号の2)

法人税法において認められる貸倒損失の範囲を定めている施行令第19条の2第1項は、消滅時効 が完成した債権、債務者の破産等により回収できない債権、不渡りが発生した日から6ヵ月以上過 ぎた小切手または手形上の債権等、非常に厳しい要件を満足する場合に限り貸倒損失の損金算 入を認めています。ところが、今回の施行令改正案は、第19条の2第1項において、貸倒損失の損金 算入対象の債権として『中小企業の売掛金および未収金(以下、本号において「売掛金等」という。 )として、取引日から2年が経過した売掛金等。但し、特殊関係人との取引により発生した売掛金等 は除くものとする。』という内容を第9号の2に追加し、中小企業の場合、他の要件を満足する必要な く、取引日から2年が経過しても回収できなかった売掛金等(ただし、特殊関係人との取引によるも のを除く。)につき、いずれも損金に算入(決算調整事項)できるようにしました。これに基づいて中 小企業は、長期の未回収売掛金等を他の事由に対する疎明を要せず、容易に損金に算入できるよ うになるものと見込まれています。一方、施行令改定案の付則には、上記規定の適用範囲に対する 特則規定を設けていないところ、改定施行令の施行日の以前に取引日から2年が経過した売掛金 等であるとしても、2020年決算の際に損金に算入できるものと予想されます。

2. 素材・部品・装備専門企業への出資・買収に対する課税特例 の新設(租税特例制限法(以下、「租特法」という。)第13条 の3、租特法施行令改正案第12条の3)

改正された租特法は、素材・部品・装備専門企業における競争力強化等のために、第13条の3(内 国法人の素材・部品・装備専門企業への出資・買収に対する課税特例)を新設しました。概略的な 内容を検討すると、まず、二社以上の内国法人が、共同人材・研究開発および共同施設投資等に向 け、2022年12月31日までに素材・部品・装備に関する中小企業・中堅企業の株式または出資持分 を取得する場合、出資金額の5%を法人税から控除(税額控除)するように規定しています。また、 内国法人が、2022年12月31日までに素材・部品・装備関連の外国法人を買収する場合、買収金額 (但し、買収の案件別に5千億ウォンの限度)の5%(中堅企業の場合7%、中小企業の場合10%) を税額控除するように定めています。

3. 持株会社の設立・転換時に、株式の現物出資等に対する課 税繰延の制限(租特法第38条の2)

租特法第38条の2は、持株会社の設立を促進するための目的で、内国法人の内国人株主が2021 年12月31日までに一定の要件を備えて株式を現物出資することにより持株会社を新設するか、既 存の内国法人を持株会社へと転換する場合、その現物出資によって取得した株式の価額のうち、 その現物出資によって発生した譲渡差額に相当する金額については、その株主が該当の持株会社 の株式を処分するまで譲渡所得税または法人税の課税繰延を受けることができるように定めてい ます。今回の租特法の改正においては、上記の課税特例の適用期限を2024年12月31日まで延長 し、株主が持株会社の株式を処分するまで譲渡所得税または法人税の課税を繰り延べられるよう にした規定を「4年据え置き、3年分割納付」の方式に変更しています。この変更により、未実現利益 が課税される結果が発生し、今後同規定による構造調整は委縮するものと思われます。但し、上記 の改定の規定は、2022年1月1日以後の現物出資分から適用されるため、2021年12月31日まで に現物出資する分に対しては、既存の規定に基づき課税繰延を受けることができます。

4. ㅡその他の主な改正内容

 

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