最近、新型コロナウィルス感染症(以下「COVID-19」という。)が急速に拡散し、それによって生産・消費が急減するとともに対内外的な経済危機に直面しており、国内の建設工事現場においても感染者(または感染が疑われる患者)の発生等による現場閉鎖、建設資材の需給および建設労働者確保の困難等を理由に、工事が中断または遅延する等、工事の進行にかなりの支障がもたらされるものと予想されています。実際に、最近、ソウル永登浦区汝矣島洞に建設中の「汝矣島パークワン」の現場で感染者が確認され、工事現場が臨時閉鎖される等の全国の工事現場が臨時閉鎖される事態も起こりました。
このような懸念を受け、韓国政府は対応策を発表しています。企画財政部は、2020年2月12日に「COVID-19によって作業および部品確保が困難になることなどで被害を受けている公共契約参加企業の負担を減らすため」国家および公共機関等の公共発注機関に対し「COVID-19対応のための公共契約業務処理指針」を下達しました。当該業務指針では、「COVID-19感染者または感染が疑われる患者の発生などにより作業が著しく困難であると判断される現場」に対し、「発注機関が工事または用役を一時的に停止できるものとし、停止期間に対しては契約期間を延長し、契約金額を増額することで追加費用を補填する」ものとしています。また、「発注機関が作業の一時停止措置をとっていない契約」に対しても「COVID-19により作業が困難な場合や、部品需給の困難等により、やむを得ず契約履行が遅延する場合、遅滞償金(遅滞損害金)を免除し、契約金額調整要件の有無を積極的に検討して契約金額を調整しなければならない」と明らかにしています。
しかし、国内建設工事現場は、上記の企画財政部の業務処理指針が適用されない民間建設工事の割合がより高く(2019年第三四半期の大韓建設協会の主要建設統計、2019年受注額基準、公共480,692億ウォン、民間1,179,661億ウォン)、このような民間の建設現場では、発注者と請負人の間の工事請負契約に基づき契約関係の調整がされるものと思われます。もちろん、民間建設現場に関しても、国土交通部は2020年2月28日に報道資料を配布し、COVID-19対応状況を「民間建設工事標準請負契約書」第17条に基づく「伝染病等不可抗力の事態により契約履行が顕著に困難な場合」として有権解釈し、工期延長・工事中断等に対して、発注者と契約当事者との間における紛争を「建設紛争調整委員会」を通じて速やかに仲裁するとしています。
それにもかかわらず、民間建設現場では、「民間建設工事標準請負契約書」をそのまま使用していない現場が多く、国土交通部の有権解釈があったとしても、具体的な事案において工事請負契約の内容に基づく解釈および適用の問題、不可抗力に該当するか否か、工事の遅延との因果関係認定の如何等によって具体的にいかなる判断が下されるかについては、依然として不確実な面があります。特に、工事期間の延長および遅滞償金免責の如何、工事期間の延長による契約金額調整の可否、工期短縮のための突貫工事費用等の請求の可否等が主に問題になり得ます。
従って、民間建設現場を中心にCOVID-19による危機状況、およびそれによって発生する不確実性に対処するための建設事業者の法的・実務的な対応策につき、以下にてご説明致します。
1.工事期間の延長および遅滞償金の免責
2.契約金額の調整、突貫工事費用等の請求
* 詳しくは右上にあるPDFファイルをダウンロードしてください。