最近、新型コロナウィルス感染症(以下「COVID-19」という。)の急速な拡散(いわゆる「コロナショック」)により、産業生産・消費が急激に減少し、国内外において経済危機に直面しています。文化界もコロナショックにより少なからず影響を受けていますが、特に、COVID-19拡散予防措置や感染者の発生による後続措置として、観客等が一定の場所に密集して接触する可能性の高い公演等が取り消される事態が頻繁に生じています。また、コロナショックを受け予定されていた公演計画そのものが白紙化されることもあり、公演企画者、出演者、スタッフ、公演場等の公演等に携わっている者が困難に陥っています。
韓国政府もこのような公演界の困難な状況に対応するため、様々な対策を打ち出しています。文化体育観光部は、公演の取り消しや延期により経済的に苦しい状況のアーティストらが緊急生活支援金の融資を受けるようにしており、観客の不安を解消するために民間の小規模公演場に消毒・防疫用品・携帯型の赤外線サーモグラフィカメラ等を支援しています。また、文化体育観光部は、アーティストおよび芸術団体に対して公演製作費を支援し、公演観覧割引券を提供することも計画しています。雇用労働部も、公演業種に対して休業手当の90%を支援する等の内容を骨子とする『観光・公演業等特別雇用支援業種指定の告示』を制定・発表しました。
しかし、上記のような政府の政策施行にもかかわらず、コロナショックの長期化による公演の取り消しや延期は、相当期間続くものと予想されます。それにより、公演従事者らの間における法律紛争も数多く発生する可能性もあり得ます。
そのため、以下では、コロナショックが公演取消等においていかなる法律効果を有するのか、および関連紛争を見通すことにより、公演従事者らの対処方策について説明します。
1.コロナショックによる公演取消が不可抗力に該当するか否か
2.公演等の取消による法律紛争についての見通し
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