最近、韓国では、通貨危機後から議論されてきた企業支配構造(Corporate Governance)の改善に対する要求とともに、全世界において注目されている社会的責任投資(SRI)、スチュワードシップ・コード(Stewardship Code)の導入による受託者責任活動等のための先決条件として、ESG(Environment Social Governance)情報の開示拡大要求が拡散しています。このような企業支配構造の改善およびESG情報の開示のための制度的な装置の一つとして、これまで自律公示事項であった企業支配構造公示が義務公示事項に変更されており、今後、義務公示の対象が上場法人の全体に拡大される見通しです。以下では、企業支配構造公示制度の主な内容および制度運営の推移について検討し、今後の見通しと対応策についてご案内します。
1. 企業支配構造公示制度の主な内容
2018年12月19日に有価証券市場公示規定の改正により、資産総額2兆ウォン以上の有価証券市場上場法人に対しては、企業支配構造報告書の提出が義務付けられました。これを受け、義務提出の対象となる企業は、2019年6月3日までに第1回目の報告書を提出しており、今年も公示義務化以後の第2回目の報告書の提出を控えています。ただし、今年は、新型コロナウィルスの急速な拡散によって監査・事業報告書の提出締切延長の承認を受けた企業に限り、企業支配構造公示の締め切りも2020年7月15日まで延長されました。
企業支配構造公示制度は、韓国企業支配構造院(KCGS)が制定した『企業支配構造模範規準』と、経済協力開発機構(OECD)の『企業支配構造原則』のうち、株主、取締役会、監査機構と関連して投資情報として価値の高い項目を10大核心原則に選定して公示するものとした制度です。同制度は、2017年に自律公示項目として導入されましたが、自発的に参加する企業が少なく、参加した企業の場合にも公示内容が十分ではないという問題が提起されました。そのため、金融委員会および韓国取引所は、改善作業を通じてこれを義務公示項目に変更する一方、企業支配構造報告書に含まれる細部公示事項を定めた「企業支配構造報告書ガイドライン」を配布しました。
現行の企業支配構造公示制度は、株主、取締役会、監査機構という三つのカテゴリーに基づき10大核心原則を公示項目として規定し、これに対する会社の遵守の如何を説明(原則遵守例外説明方式)するものとしています。また、核心原則のうち「遵守を奨励する必要のある」15項目(株主総会4週前の招集公告、電子投票の実施、集中投票制度の採用、取締役会議長と代表取締役の分離、6年以上長期在職している社外取締役の不存在等)については、報告書別添「企業支配構造核心指標遵守現況」表において遵守の如何に〇または×をつけるものとし、各企業の核心指標遵守現況を直観的に把握できるようにしています。
義務提出の対象となる法人は、企業支配構造報告書を事業報告書提出期限から2ヵ月以内に取引所に提出しなければなりません。しかし、提出期限を守らないか、公示内容に偽りがある場合等には、不誠実公示として制裁を受けることがあり、公示項目の記載にミスがある場合や、重要事項に漏れがある場合(ガイドラインの提示した内容を満たして作成しない場合を含む。)、取引所が訂正申告を要求できますが、これに応じない場合には、制裁を受けることがあります(有価証券市場公示規定第29条第1号、第2の2、第24条の2第2項、施行細則第7条の2第3項)。
2. 2019年公示完了以後のガイドライン改正
3. 公示履行に対する監督強化についての見通しおよび対応策
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