最近、韓国では、政府の積極的な不動産投資会社(Real Estate Investment Trusts、以下「REITs」という。)に対する活性化政策により、REITsへの関心が高まっています。REITsの投資対象もまた多様化されることで、海外不動産に投資するREITsも上場を控えています。このような海外不動産に対する投資REITsの場合、為替レートの変動リスクを避けるために外貨為替ヘッジ契約が必須となっていますが、不動産投資会社法第21条では、REITsの資産投資・運用方法を制限的に掲げており、店頭デリバティブ(OTC Derivatives)契約は含まれていません。そのため、REITsにおける為替ヘッジ契約の締結の可否について議論が行われてきました。

これにつき、法務法人(有)世宗のREITs専門チームは、①不動産投資会社法における投資・運用への制限は、「利益を得る目的」を前提にしているものとして、リスクを避けるための為替ヘッジ契約は、上記のような制限を受けないということ、②同法第25条第1項によると、REITsは、資産の100分の80以上を「不動産、不動産に関する証券および現金」によって構成しなければならないところ、逆に解釈すると、これらに該当しない資産も100分の20までは保有できるということ、③法律が資産の100分の20までを自由に投資できるものとした趣旨は、上記のような範囲内で投資対象資産の価値を引き上げる各種の用役報酬や、投資対象資産をリスクから保護する保険料等の費用を支出できるようにしたものであるということなどを主張し、国土交通部から、REITsも為替ヘッジを目的とする店頭デリバティブ 契約を締結できるという有権解釈を導き出しました(国土交通部2020年1月10日付回答)。

上記の有権解釈により、REITsとREF(不動産型ファンド)との間における制度的な不均衡が解消されたといえますが、何より、今後、海外不動産に投資するREITsが適法に為替ヘッジ契約を締結し、安定的に為替レートの変動リスクを管理することができるという点で、その意味があるといえます。