2021年6月24日より医療機器広告の事前審議主体が食品医薬品安全処から民間の自律審議機構に変更される「医療機器広告の自律審議制度」が運営されました。これは、憲法裁判所による2020年8月28日付の違憲決定を受け、2021年3月23日改正された医療機器法並びに2021年6月15日改正された医療機器法施行令に基づいたものです。
「自律審議制度」の主な内容は、以下のとおりです。
自律審議機構として申告された機関および団体
- 下記記載の一定の資格要件を備えた機関および団体は、食品医薬品安全処長に対して申告した後、医療機器広告審議業務を遂行することができます。
- 現在申告のあった自律審議機構は、韓国医療機器産業協会です。
自律審議機構の資格要件
- 組織:医療機器広告の審議およびモニタリングに関連する業務処理が可能な1以上の専担部署と3人以上の常勤従業員および電算装備と事務室を備えなければなりません。
- 機関および団体:民法、協同組合基本法、中小企業協同組合法に基づいて設立された医療機器関連の機関または団体であるか、消費者基本法に基づいて公正取引委員会に登録し、団体の設立の目的等、業務範囲に医療機器または関連内容が含まれている消費者団体でなければなりません。
自律審議機構の自律的審議基準づくり
自律審議機構は、審議において適用する審議基準を設けなければならず、自律審議機構が2以上の場合、相互協議のうえその基準づくりを行わなければなりません。
医療機器広告審議委員会の運営
自律審議機構は、医療機器広告を審議するための審議委員会を設置・運営しなければならず、審議委員会は、委員長1人と副委員長1人を含め10人以上20人以下の委員により構成することになります。審議委員は、医療機器関連の産業界の従事者、医者・歯医者・漢方医、弁護士等により構成されますが、上記事項以外に審議委員会の構成および運営についての事項については、自律審議機構が定めることになります。
自律審議機構の審議結果に対する異議の申立て
自律審議機構の審議結果に異議がある場合には、審議結果の通知日から30日以内に事由等を記述し、自律審議機構に対して再審議を申し立てることができるものとしています。ただし、再審議の結果にも異議がある場合には、再審議結果の通知を受けた日から30日以内に食品医薬品安全処長に対して異議の申立てを行うことができます。
自律審議機構の事後モニタリング
自律審議機構が、自ら審議した広告について医療機器法により禁止される広告等違反の如何につきモニタリングし、その結果を食品医薬品安全処長に対して提出するものとしています。
審議対象広告の範囲の拡大および明確化
審議対象広告としては、従来の広告範囲(テレビおよびラジオ放送、新聞、インターネット新聞・雑誌、インターネット)以外に「屋外広告物のうち垂れ幕、張り紙、チラシおよび交通施設・手段に表示されるもの」と「電光掲示板」を追加し、審議対象インターネット媒体としてインターネット・ニュース・サービス、放送事業者が運営するインターネット・ホームページ、通信販売業者または通信販売仲介業者が運営するインターネット媒体および前年度末基準で直前3カ月間における1日平均利用者数が10万人以上のソーシャル・ネットワーキング・サービスを提供する広告媒体を定めました。
一方、自律審議機構が審議基準を自ら設けるものとする場合、審議基準がより容易に変更され得るという点で医療機器広告の審議結果に対する予測可能性が落ちることもあり得ます。ただし、自律審議機構の審議基準も医療機器法において禁止される医療機器広告を考慮せざるを得ないものと思われるところ、禁止となる医療機器広告規定は、以下のとおりです。
医療機器法第24条(記載および広告の禁止等)②何人も医療機器の広告と関連し、以下の各号のいずれか一つに該当する広告を行ってはならない。
- 医療機器の名称・製造方法・性能や効能および効果またはその原理についての虚偽または誇大広告
- 医者・歯医者・漢方医・獣医師またはその他の者が、医療機器の性能や効能および効果について保証・推薦・公認・指導または認定しているか、そのような医療機器を使用していると誤解する虞がある記事を使用する広告
- 医療機器の性能や効能および効果を暗示する記事・写真・図案を使用したり、その他暗示的方法を使用する広告
- 医療機器について人工妊娠中絶を暗示したりわいせつ的な文書または図案を使用したりする広告
- 第6条第2項または第15条第2項により許可または認証を受けていないか、申告した事項と異なる医療機器の名称・製造方法・性能や効能および効果に関する広告。ただし、第26条第1項但書に該当する医療機器の場合には、食品医薬品安全処長が定めて告示する手続きおよび方法、許容範囲等に基づいて広告することができる。
- 削除<2021年3月23日>
- 第25条第1項による自律審議を受けていない広告または審議を受けた内容と異なる内容の広告
上記のような自律審議を受けずに広告したり、審議を受けた内容とは異なる内容の広告を行ったりした場合には、品目許可または認証の取消し、製造・輸入・販売の禁止または営業所の閉鎖や業務の全部または一部に対する停止処分を受けることがあります。
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