環境部は、2021年4月21日付で改正された環境技術および環境産業支援法に基づき、韓国型緑色分類体系(K-Taxonomy)(以下「緑色分類体系」といいます。)を樹立し、2021年12月30日に緑色分類体系による緑色経済活動を分類する原則と基準を提示した『韓国型緑色分類体系ガイドライン』(以下「ガイドライン」といいます。)を発表しました。ガイドラインに法的拘束力はないものの、どのような活動が緑色経済活動として認められるのかについての原則と基準を提示し、より多くの緑色資金が緑色プロジェクトや緑色技術に提供され得るようにするだけでなく、緑色偽装行為(グリーンウォッシング)を判別するにあたって活用することができ、ガイドラインに対する正確な理解が必要です。

 

<ガイドラインの主な内容>

緑色分類体系の概念および原則

緑色分類体系とは、温室効果ガスの削減、気候変動の適用、水の持続可能な保全、資源循環、汚染の防止および管理、生物の多様性という6大環境目標に貢献する緑色経済活動を分類したものとして、緑色経済活動は(i)6大環境目標の一つ以上の環境目標の達成に貢献しなければならず、(ii)環境目標達成の過程で他の環境目標に深刻な被害を与えてはならず、(iii)人権、労働、安全、腐敗防止、文化財破壊に関連する法規に違反してはならないという原則の遵守が必須となります。

 

緑色分類体系の経済活動

ガイドラインによると、緑色経済活動は、①炭素中立および環境改善に必須の真正な緑色経済活動である「緑色部門」と、②炭素中立という最終志向点に向かうための中間過程において、一時的に緑色分類体系に盛り込まれている「転換部門」とで構成されます。

「緑色部門」は、温室効果ガスの削減、気候変動の適用、水、循環経済(資源循環、メタンガスの活用)、汚染防止および処理、生物多様性の分野に区分され、計64の緑色経済活動によって構成されています。このうちの産業、発電・エネルギー、輸送分野の主な内容は下記のとおりです。

  • 産業分野においては、電気化および電気活用技術、水素還元製鉄、非炭酸塩、混合セメント、フッ素化合物の代替および除去等、温室効果ガスの削減に必要な核心技術が含まれ、鉄鋼、セメント、有機化学物質の製造などの温室効果ガスの多排出業種においても、温室効果ガスの削減に相当貢献する活動は含まれました。また製造およびサービス業の温室効果ガスの削減活動を認めるため、別途温室効果ガスの削減設備の構築・運営の基準を設けました。
  • 発電分野においては、太陽光、太陽熱、風力等を利用したエネルギー生産、バイオマス、バイオガス、水素またはアンモニア等を利用したエネルギー生産などの再生エネルギー生産活動および関連基盤施設の構築活動が含まれました。
  • 輸送分野においては、温室効果ガスの削減目標および国際的な趨勢を考慮し、無公害(電気、太陽光、水素)車両の製造、無公害の大衆交通の運営、無公害の運送等が含まれ、ガイドライン関連の意見取纏めの過程で議論されていたハイブリッドカーは、最終的に除外されました。

「転換部門」に分類されている経済活動は合計5つで、中小企業事業場における温室効果ガスの削減活動、液化天然ガスおよび混合ガス(バイオガス、水素、アンモニア、副生ガス、液化天然ガスのうち、二つ以上の混合ガス)基盤エネルギーの生産、液化天然ガス基盤の水素(ブルー水素)の製造、環境にやさしい船舶の建造、エコ環境な船舶運送がこれに該当します。「転換部門」に該当する経済活動は、化石燃料を一部含むものの、2030年まで一時的に認定(液化天然ガスおよび混合ガス基盤のエネルギー生産については、最大2035年まで認定期間が延長されるか否かが決定する予定です。)されます。環境部は、転換部門に含まれる経済活動といっても、技術開発の動向等を考慮し温室効果ガスの削減水準を強化していく予定であることを明らかにしました。

  • ガイドライン関連の意見取纏めの過程で議論されていた環境汚染物質の低減装置を搭載した火力発電および原子力発電は、最終的に含まれませんでした。環境部によると、LNG発電は、主要国に比べ製造業、エネルギー多消費業種の割合および化石燃料の依存度が高い国内の状況を考慮し、一時的に含めたものとして、原子力発電の場合「2030国家温室効果ガス削減目標(NDC(Nationally Determined Contribution))」と「2050炭素中立シナリオ」に原発を増やす計画がないことを考慮して盛り込んでいないものの、欧州連合等の動向と国内の与件を鑑みると、社会的合意を通じて原発を緑色分類体系に含めるか否かにつき、引き続き検討するという立場を明らかにしました。

 

適合性の判断プロセスおよびガイドラインの活用

企業や金融機関等は、緑色債権、緑色与信、緑色ファンド等の緑色ファイナンスの活用に向け、当該経済活動が緑色分類体系による適合性の基準を満たすか否かを判断する必要があります。ガイドラインによると、活動基準、認定基準、排除基準、保護基準を全て満たす場合、緑色分類体系における適合性の基準を満たすものと判断されます。

  • ① 活動基準の判断:経済活動が緑色経済活動の範疇に含まれるかを一次的に判断
  • ② 認定基準の判断:経済活動が6大環境目標の一つ以上の環境目標達成のための技術的基準に合致するか判断
  • ③ 排除基準の判断:経済活動が深刻な環境被害の判断基準(DNSH(Do No Significant Harm)基準)に合致するか判断
  • ④ 保護基準の判断:経済活動が人権、労働、安全、アンチダンピング、文化財破壊等の関連法規に違反していないか判断

企業と金融機関は、緑色分類体系の適合性の基準に従って緑色経済活動を定義したり、投資に関連する意思決定をするにあたりガイドラインを活用することができると思われます。なお、ガイドラインにより企業と金融機関が保有または運営している資産、行っているプロジェクトや企業活動が韓国型緑色分類体系に適合するか否かを判断し、その結果を対外に公開することができるものと思料されます。

 

<示唆点>

今回のガイドラインは、2020年12月に発刊された環境部と金融委員会の『韓国型緑色債権ガイドライン』とともに市場関係者らに対し、どのような経済活動が真の緑色経済活動に該当するかについてのより明確な基準を提示したという点で、大きな意味があると言えます。特にガイドラインは、緑色分類体系の適合性の判断と関連し、活動基準、認定基準、排除基準、保護基準について非常に詳細に記述しており、個別産業別の緑色分類体系を適用するうえで大きく役立つものと思われます。

一方、環境部は、最近発表された欧州連合の緑色分類体系に原子力発電が反映されたなどの状況を考慮し、1年間のテスト事業を経た後にガイドラインの修正と補完がなされる可能性を示唆しているところ、今後これに関するモニタリングが必要になると見られます。

法務法人(有限)世宗においては、増加するESGに対する企業の関心とその重要性を考慮し、迅速かつ体系的に対応していくため、環境、企業法務、労働、ファイナンス、公正取引等の複数の分野の実力高い専門家らが集結するESG専門グループを運営しております。法務法人(有限)世宗は、代表弁護士の李慶敦を中心に、ESG分野において最も権威のある機関の韓国企業支配構造院副院長を歴任していた李鏞國顧問、環境部にて要職に就いた経験を持つ白奎錫顧問、個人情報保護委員会委員の白大容弁護士、韓国シティ銀行法務部門副行長を歴任した李蒼遠弁護士、企業支配構造関連の専門家である金秉台、張在榮弁護士、労働分野専門家の金鍾守弁護士、環境分野専門家の黄成翼弁護士、公正取引専門家の石根培弁護士、ファイナンス分野専門家の文景華、宋秀暎弁護士、新再生エネルギー分野専門家の曺賢美弁護士など、各分野において10年以上の業務経験を有するスペシャリストで構成される専門家により、依頼者の要請に合わせ、有機的に業務を担当・処理しています。今回のガイドラインの新設のように、ESG関連の規制の変化の流れにおいて、ESG専門グループは、ESGの各イシューに関する豊富な諮問経験に基づき、適時に総合的なソルーションを提供しています。

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