大韓民国(防衛事業庁)は、グローバル航空機製作会社のA社と空中給油機および付属品等の納品を内容とする物品購買契約(以下「本件契約」といいます。)を締結しました。これにより、A社は、大韓民国に約30回ほど、付属品等を順次納品していたものの、一部の納品については、契約上の納期から1年以上遅れていました。防衛事業庁は、このような複数に亘る納品が、契約上認められている分割納品ではないという理由で、一律的にすべての付属品が契約上の納期から最終の付属品納品時まで、納品遅滞が発生していたものと見做し、約3,400万ユーロ(韓国ウォンで約466億ウォン)相当の遅延賠償金(韓国語では「遅滞償金」といいます。)を賦課しました。
法務法人(有限)世宗は、A社を代理して遅延賠償金の免除願 を作成・提出しながら、防衛事業庁における遅延賠償金の賦課処分は、遅滞日数の算定に誤りがあり、A社の責に帰する事由がない期間が考慮されていないという点を積極的に主張しました。これはつまり、(i)本件契約においては、分割納品を許容しており、分割納品が許容される場合、遅延品目についてのみ遅延賠償金が賦課されるため、全ての付属品について一律的に遅滞日数を適用してはならず、個別の分割納品別に遅滞日数を算定すべきであると主張しました。これを裏付けるため、防衛事業庁担当者とA社との間の公文・電子メール、会議資料等を分析および提示し、各納品別に分割納品が許容されていたという点を積極的に説明しました。また、(ii)本件契約の体系的解釈上、A社が防衛事業庁に引き渡し準備の通知を行った後、一定期間までは、A社に対して遅滞責任を問うことができないという点を強調しました。さらに、(iii)A社と海外現地運送業者との間でやり取りされた公文・電子メール等を分析し、A社の責任なく運送が遅れていたという細部的事情等について説明を行いました。
法務法人(有限)世宗は、防衛事業庁に対し、遅延賠償金の免除願を提出し、上記の論理を積極的に主張する一方、防衛事業庁の担当者との公式的な面談を通じて、上記遅延賠償金の賦課処分における事実的、法理的な誤ちにつき具体的に説明し、電話または電子メール等を通じて担当者が疑問を持つ部分については、追加の資料提示を行いながら積極的に説明し、担当者の理解と争点整理に向け、追加の補充書面を提出しました。
その結果、防衛事業庁は、世宗の主張を大部分受け入れ、遅延賠償金の総額約3,400万ユーロ(韓国ウォンで約466億ウォン)のうち、約3,150万ユーロ(約433億ウォン)を免除する決定を下しました(免除要請金額の98.2%の受け入れ)。
本事案は、国防分野において秀でた専門性とノウハウを有している世宗の国防グループが、国際物品契約の体系的な解釈と論理的主張を通じて、数百億ウォンの遅延賠償金の減額を認められたという点で意義があり、特に、初期段階の異議手続きにて、免除要請金額につき、事実上の全部認定を受けたことにより、クライアントの抱えるリスクを初期に解消したということから、大きな意味を有すると思われます。
法務法人(有限)世宗の「国防チーム」は、国防部、陸海空軍および防衛事業庁において勤務経験があり、軍需品の獲得事業・施設工事に関連する経験豊富な法律専門家と、実際に事業に携わった経験を有する実務専門家らによって構成されている国防分野最高の専門家グループとして、入札手続き、契約履行、遅延賠償金の賦課、不正当業者の制裁等の国防分野におけるあらゆる法律問題に対し、最適なソルーションを提供しています。
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