A社は、廃棄物処理業を営むため、B市から廃棄物処理事業計画書の適合通知を受け、廃棄物処理施設の設置に向け、B市に対して都市管理計画の立案提案書を提出し、立案反映の通知を受け取りました。その後、A社は、環境影響評価の協議を経て協議意見による措置計画等を履行し、事業の準備を進めていました。一方、B市は、都市管理計画の決定のための年計画委員会審議において、「A社が設置する廃棄物処理施設は、住民との疎通不十分により、住民の受入れが足りず、市の政策方向に合致しない」という理由で、都市管理計画の決定案を否決し、A社に対して都市管理計画の決定案不可通知(以下「本件処分」といいます。)を行いました。
これにつき、法務法人(有限)世宗の公法紛争グループ(公法訴訟チーム)と環境チームは、A社を代理して行政審判を提起しました。世宗は、行政審判において、①大法院の判例および廃棄物処理業の許可業務処理指針等の関連法令の解釈上、明確な法的根拠なく、単なる住民クレームを理由に、廃棄物処理業の許認可を拒否することはできず、②B市の都市基本計画の内容上、廃棄物処理施設の設置がむしろB市の都市基本計画に合致し、③数年間に亘り廃棄物処理事業計画書の適合通知、立案の提案および立案反映の通知、環境影響評価の通過等の事業がすでに相当部分進んでいたにもかかわらず、合理的な理由なしに、拒否処分を下すことは、信頼の原則に反し、裁量権を逸脱・濫用したものであると主張しました。また、④環境影響評価および措置計画時に作成された文書等を通じ、A社が地域住民と疎通をし、意見の受入れを行う等、クレーム解決に向けて努力した情況等を明らかにしました。これに対して京畿道行政審判委員会は、世宗の主張を受け入れ、地域住民の受入れが足りないと見ることができず、B市の都市基本計画上、廃棄物処理場の設置が必要な事情も存在し、かつ、A社が適合通知から環境影響評価、住民への意見聞き取り、関係機関との協議等を経て措置計画を履行した点らを考慮した際、本件処分が違法であるという内容の裁決(以下「本件認容裁決」といいます。)を下しました。
なお、A社は、本件認容裁決を受けた後、廃棄物処理施設の構造および規模の変更等を理由に、廃棄物処理事業計画書の変更適合通知を受け取っており、その時点では、最初の適合通知日から5年近くになろうとしている時点でした。これに対し、環境部とB市は、許可申請期間(廃棄物管理法第25条第3、4項によると、最長5年)は、最初の適合通知日から起算されるという過去の環境部における民願回答に基づき、最初の適合通知日から5年以内に廃棄物処理業の許可を完了しなければならないという立場であったところ、A社としては、最初の適合通知日から5年の期限が迫っており、残りの期間中に、法規定が求める廃棄物処理業の物的施設を備えて許可を得ることは不可能であり、本件認容裁決にもかかわらず、事業の持続ができない状況にありました。
これにつき、世宗の公法紛争グループ(公法訴訟チーム)と環境チームは、環境部に対し、具体的な事情を考慮せず、最初の適合通知日から許可申請期間を一律的に算定することは不合理であり、A社の場合には、本件認容裁決において確認されたとおり、違法な処分について争っている間に許可申請の期間が経過してしまい、その期間の経過には帰責事由がないだけでなく、単純な商号や代表者の変更等でなく、環境影響評価の過程における施設面積および処理容量の変更等の実質的な事由により変更適合通知を受けたものであるから、変更適合通知日から許可申請が再度起算されるべきであるという意見を、関連する資料とともに提出しました。これに対し環境部では、積極行政委員会の審議を経て、既存の回答の内容を変更し、廃棄物施設の構造や規模等の変更により変更適合通知を受け取った場合には、最初の適合通知日ではない変更適合通知日を基準として許可申請を算定するという有権解釈を下しました。
これによりA社は、予定されていた事業を進めることができるようになり、万が一、事業が白紙となった場合、これまでに所要した土地購入費、設計費、施設費用、管理費等の数年間投資してきた数百億ウォンの費用損失を防ぐことは勿論のこと、現在全国的に不足の状態にある廃棄物処理施設を適法に設立・運営することにより、地域経済の発展にも貢献できるようになりました。
廃棄物処理施設は、私達の生活において必要な環境基礎施設であり基盤施設となります。ところが、嫌悪される施設という先入観と住民らの反対により、自治体が適正通知を行ったにもかかわらず、事業を進める中、許認可が拒否される事例が度々発生しています。しかしながら、合理性や一貫性のない自治体の拒否処分により、適合通知を信頼して莫大な費用を投資して事業を進めてきた企業としては、回復し難い損害を負うことになります。本件は合理的な根拠なく、単純に住民のクレームを理由として廃棄物処理業の許認可を拒否することができないという法理を行政審判を通じて再確認し、廃棄物管理法第25条第3、4項、同法施行規則第28条第3項所定の廃棄物処理業許可申請期間の起算点は、事業計画変更時の具体的な時点により別途適用すべきという有権解釈を導き出したことから、環境分野、特に廃棄物処理業の分野において、示唆する点が高いものといえます。
法務法人(有限)世宗の公法紛争グループ(公法訴訟チーム)は、行政訴訟および救済分野において多種多様な訴訟(行政審判を含む。)および諮問分野においてアドバイス提供等をしてきた経験を有しております。人材構成としてもやはり、法院で長期間、行政訴訟を担当していたり、関連分野において学問的な研究を行い成果をなした経験保有者や、弁護士として類似の事件を長期間扱ってきたエキスパートによって構成されています。豊富な経験と優秀な人材に基づき、各種の許認可、収益的な処分の拒否処分、制裁処分等に関する行政審判および行政訴訟だけでなく、処分前の段階における意見書の提出、聴聞会における意見陳述、各手続きにて必要な仮処分申請等のリーガルサービスを提供しております。
法務法人(有限)世宗の環境チームは、大気、水質および土壌汚染、炭素排出、廃棄物、環境汚染の浄化等、環境汚染等による環境権および健康権の侵害に関連する訴訟と仮処分事件を多数担当するなかで、各種の環境紛争の解決に優れた専門性とノウハウを有しております。また、ビジネス取引と関連する環境リスクの評価およびその対応、許認可/法規遵守関連のアドバイス、特に統合環境管理制度の導入による事業場別の周期的な許可更新への対応、排出権取引制度および気候変動に関するアドバイスおよび訴訟、化学物質の登録および評価、化学物質管理関連のアドバイス、土壌汚染および廃棄物関連の訴訟および紛争の解決等の環境関連問題に対し、総合的なリーガルサービスを提供しております。
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