環境部は、「環境標識対象製品および認証基準」告示(以下「本告示」といいます。)改正案(以下「本改正案」といいます。)を5月31日から6月21日までの21日間行政予告しました。本告示は、環境技術および環境産業支援法(以下「環境技術産業法」といいます。)に基づき、一定水準以上、環境性(炭素削減、資源循環等)に改善が見られる製品に賦課される「環境標識認証」の基準に対して規定しており、今回の改正は、緑色(エコ)消費の流れに合わせ、当該基準を全面的に改編したということに意義があります。

今回のニュースレターでは、本告示の主な改正内容とその示唆点について検討していきます。

 

[1] 本告示の主な改正内容

本改正案は、▲プレミアム認証*対象品目の拡大(現行4品→改正10品)▲一般認証基準の強化、▲タンブラーとリユース容器のレンタルサービスに対する認証基準の新設を骨子としており、その具体的な内容については、次のとおりです。

*プレミアム認証基準は、一般認証基準よりも強化された基準として、プレミアム認証を受けるには、一般基準とプレミアム認証基準を全て満たす必要があります。本改正案は、プレミアム認証品目を拡大すると同時に、拡大された品目に対する一般基準を強化しました。

内容 改正
一般認証基準の対象品目の変更
([別表1] 関連)
- 蛍光ランプ等の8項目を削除
- タンブラー、リユース容器のレンタルサービス項目の新設
プレミアム認証基準の対象品目の拡大
([別表2] 関連)
ノートブックおよびコンピューター用モニター - 消費電力節減の最上位水準(国際エネルギースター基準) 
- ハウジングにおける再生合成樹脂の10%以上使用
洗濯用洗剤、キッチン用洗剤およびシャンプー・リンス・ボディソープ - 全ての原料は生分解性原料のみを使用 
- バイオマス基盤の界面活性剤使用率50%以上(シャンプー・リンス70%以上)
- 包装材の廃材使用基準の強化 
衣類 - 廃材使用率80%以上 
- リサイクルのポリエステル原糸使用率50%以上 
一般認証基準の強化
([別表2] 関連)
ノートブックおよびコンピューター用モニター - 消費電力の節減上位30%製品水準へと強化
◾ ノートブック: 「待機電力低減プログラム運営規定」を適用して換算した基準の50%未満(現在→90%未満)
◾ コンピューター用・モニター: 「待機電力低減プログラム運営規定」により換算した基準の60%未満(新設)
洗濯用洗剤、キッチン用洗剤およびシャンプー・リンス・ボディソープ - 発がん性・長期毒性・内分泌系等の高リスク懸念物質の制限
- 一次包装材の評価指数の強化
◾ 粉末洗濯洗剤: 3以下(現在→8以下)
◾ 液状洗濯洗剤: 5以下(現在→11以下)
◾ キッチン用洗剤: 20以下(現在→30以下)
※ ドイツのエコ環境標識制度である「ブルーエンジェル」よりも厳格な基準を設定
衣類 - 紙包装材の廃材使用率50%(新設)
- リサイクルのポリエステル原糸使用率20%以上(新設)
※ 欧州の繊維安全性 の有害物質テスト制度「OEKO-TEX®(エコテックス) 」レベルまで厳格に設定

 

[2] 示唆点

環境部は、今回の改正の趣旨として真正な環境に優しい製品を求める緑色消費者の基準に合わせ、エコ製品の認証基準(環境標識認証)を強化することを提示しています。最近、ESGに対する社会的ニーズの強化、環境に優しい消費、緑色消費の強調により、一部企業らが事実上環境に否定的な影響を与える製品を虚偽広告、認証、広報等を通じてエコ製品に見せ掛けて販売する「グリーンウォッシング(Greenwashing)」*が、社会的問題として浮上しています。すなわち、企業らが製品の生産過程の極めて一部に限って行われた環境に配慮した努力につき、それを過度にアピールして経済的な利益を得る行為が問題となっています。

*グリーンウォッシング(Greenwashing)とは、企業や団体で実際には環境に良くない影響を与える製品を生産しながらも、虚偽・誇張された広告や宣伝、広報手段等を利用し環境を配慮しているかのように装う「偽装環境主義」または「エコ偽装術」のことをいいます。

今回の改正は、このようなグリーンウォッシングを防止し、実質的に環境改善に貢献できる製品に限り、環境標識認証の賦課や認証に対する消費者の信頼を強化し、環境改善に真摯に貢献している企業に対してインセンティブを与えるためのものであると言えます。また、環境部は、今後も、一般の認証基準を市中に出回っている製品の上位30%水準まで強化する予定であるところ、引き続き関連立法の動向について注視する必要があります。

さらに、環境標識認証、特にプレミアム認証を得た製品の生産割合が高い企業は、今後ESG(環境・社会・支配構造)の評価において相当肯定的な影響を受ける可能性が高く、炭素中立に貢献する産業に対する金融支援を行うために設けられた「タクソノミー(taxonomy)」体系(緑色分類体系)が本格的に行われれば、金融調達においても恩恵を受けられるものと予想されます。環境部は、今後プレミアム認証を生活密着型の製品全て(個人・家庭用品、家庭用機器・器具等の58品目)に拡大する計画を明らかにしているところ、企業としては、本改正案の基準を綿密に分析し、ESG評価、緑色金融等の側面において活用する策を考慮してみる必要があります。

 

[参考] 環境標識認証制度の体系

環境標識認証制度は、エコ製品に対する正確な情報を消費者に提供し、企業において環境に優しい製品を開発・生産するように誘導し、持続可能な生産および消費活動を促すために設けられました。

環境標識認証を受けるためには、韓国環境産業技術院に対して認証申請を行わなければならず、申請後には、技術院の書類検証、現場審査、現場審査の過程で採取されたサンプルに対するテスト成績書の検証および認証審議委員会の審議手続き等があり、これを経てエコ製品として認証されれば、環境標識の使用が可能になります。ただし、環境技術産業法では、事後管理制度を設けており、認証を得た製品に、認証の内容とは異なる材料等の使用事実が摘発される場合、認証が取り消されることもあります。

 

 

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