2020年12月21日の回生手続き(日本の会社更生手続)開始申請日より始まった双竜(サンヨン、SSANGYONG)自動車に対する回生手続きは、2022年5月18日付のスポンサー(買収者)KGグループとのM&A契約の締結およびこれに基づく2022年8月26日付のソウル回生法院における回生計画の認可決定により、長期に亘った回生手続きの幕を閉じることとなりました。弊社、世宗倒産チームは、2009年1月から2011年3月まで行われた双竜自動車の一次回生手続きにおいて、双竜自動車を代理するなど、長い間、双竜自動車のために様々な法律助言等の業務を担当・処理してきました。今回の回生手続きにおいても、世宗倒産チームは、双竜自動車が直面している状況を最もよく理解している法律事務所として、当然のごとく、双竜自動車を代理して手続き進行のサポートを担うことになりましたが、弊社チームは、回生手続き開始の申請を行うにあたり、以前から進められていたM&Aを活用するために、自律構造調整支援プログラム(Autonomous Restructuring Support Program; 以下「ARSプログラム」といいます。)の適用を法院に要請していました。ARSプログラムは、債務者会社に対し、私的構造調整の可能性がある場合、申請人が回生手続き開始申請のメリットを活用しながら、私的構造調整を試みることができる機会を与えるものの、私的構造調整が失敗に終わる場合、回生手続きへと履行されるプログラムのことをいいます。2018年にARSプログラムが導入されて以来、これを適用した前例は多くなかったものの、弊社チームの努力により、双竜自動車はARSプログラムの適用を前提とした回生手続き開始の留保決定を受けることができました。

また、双竜自動車は、上場企業として数多くの株主および債権者など、多数の利害関係人が存在するだけに、回生手続き開始申請がもたらす深刻な混乱を防ぐため、回生手続き開始申請直後に、包括的禁止命令および保全処分を受けることが非常に重要でした。双竜自動車は回生手続き開始申請当日に包括的禁止命令および保全処分を受けることができたものの、これは、回生手続き実務上、前例がほとんど存在しないほど、スピーディーに決定が下された事例として、弊社チームが包括的禁止命令および保全処分が遅れる場合に起こりうる混乱とその弊害に対し、十分な論拠と資料を法院に提示したことが功を奏したものと見られます。

以後、残念ながら、従前から進められていたM&Aが白紙となったことにより、双竜自動車に対するARSプログラムが終了し回生手続きが開始されたものの、双竜自動車は、回生手続きにおいても引き続きM&Aを推進しました。弊社チームは回生手続きに加え、新たに試みられるM&Aの過程においても、双竜自動車に対するアドバイザーとしての役割を担ってきました。その結果、広く知られているように、エジソンモーターズ等との間で、一次M&A契約が締結されたものの、エジソンモーターズ等により買収代金の口座据え置きがなされずに契約が自動解除となり、これにより双竜自動車は、ややもすると、破産手続きへと移行せざるを得ない絶体絶命の瞬間に直面していました。このような状況で最も重要なのは、迅速に二次M&A手続きを進めてこれの成就に努めることでしたが、エジソンモーターズ等が投資契約の解除に反発し、契約解除効力停止および売却手続進行禁止の仮処分申請がなされたため、二次M&A手続きの開始そのものが不透明な状況に陥っていました。しかし、幸いなことに、弊社チームは、上記の仮処分事件において、双竜自動車を代理して相手側が主張する項目一つ一つに反駁を重ねながら、適時に必要な主張と証拠を提出することで、法院からの迅速な棄却決定を受けることができました。また、上記仮処分事件以後にも、二次M&A手続きにおいて、優先交渉の対象者に選ばれなかったKWANGLIM社が、企業売却手続続行中止の仮処分申請を申し立てたことにより、再びM&A手続きの遅延が懸念されるリスクが生じたものの、これもまた、弊社チームの迅速かつ適切な対応により、異例な速さでの却下決定を受けることができました。

このように弊社チームは、双竜自動車における回生手続きおよびM&A過程において、ややもすると、売却手続きに莫大な支障をもたらす虞のある仮処分事件等に対し、完璧に近い防御力を発揮しました。また、倒産会社M&Aに対する豊富な経験と双竜自動車に対する深い理解を基に、双竜自動車における二次M&Aの実現に大きく貢献しました。なお、双竜自動車に対する回生手続きの最終段階において、商取引債権団の弁済率の向上が重要な争点として挙がっていたところ、弊社チームは双竜自動車およびM&A引受人とともに、弁済率向上に向けた多様な案について尽力し、最終的に、商取引債権者が満足できる案を回生計画案に盛り込んだことにより、8月26日付で開催された双竜自動車における回生計画案決議のための関係人集会にて、債権者組、株主組の圧倒的な賛成を得て回生計画案認可決定を受けることができました。

弊社チームは、今回の双竜自動車における回生手続きおよび2回のM&A手続きで、双竜自動車を代理し、双竜自動車および債権者等の利害関係人いずれも満足できるサクセスフルな結果を導き出しました。これは双竜自動車との間に築いてきた厚い信頼関係、弊社チームの豊富な業務経験と専門性、専門弁護士間における効率的な協業能力があったからこそ可能であったといえます。弊社チームは、双竜自動車回生事件の他にも、数多くの会社を代理して回生事件や関連するM&A事件を担当・処理してきており、その過程において、すべてのクライアントが満足できるリーガルサービスを提供してきました。弊社チームは、主に回生事件関連の仮処分等の訴訟事件を担当する弁護士の李栄九、金昭延、李在遠と、主に回生手続き・M&A手続きに関する諮問提供を行っている弁護士の崔福基、金永根(日本語対応可能)、李在河との協業により、大きなシナジー効果を上げているところ、回生事件および回生会社M&Aと関連してリーガルサービスが必要な際には、お気軽に弊社の倒産チームまでお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。

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