1.『推薦・保証等に関する表示・広告審査指針』改正案の行政予告
『表示・広告の公正化に関する法律』第3条および同法施行令第3条は、不当な表示・広告を禁止しており、これに関連して公正取引委員会は「推薦・保証等に関する表示・広告審査指針」(以下「審査指針」といいます。)を設けています。公正取引委員会は、審査指針を通じて急変する消費環境と多様化されるSNS媒体環境に合わせて具体的な表示・広告に関する基準を提示してきたところ、特に2020年に審査指針の全面改正を行うことで、審査指針に関する「経済的利害関係表示案内書」を発刊した後、より一層積極的にSNSにおける不当広告や利用コメントを通じた世論操作等を防止するために努力しています。今回行政予告されている改正案は、経済的利害関係の開示方式を改善し、経済的利害関係の意味をより明確にする内容を盛り込んでおり、2024年12月1日から施行される予定となっています。
2. 審査指針改正案の内容
改正案の主な内容については、以下のとおりです。
1) 文字メッセージ中心媒体における開示形式の改善
従前の審査査指針によると、ブログ・インターネットカフェ等の文字メッセージを中心とする媒体を通じて推薦・保証等をする場合、経済的利害関係の表示文言を掲示物の最後に開示することも可能でした。しかしながら、経済的利害関係の表示文言を掲示物の末尾に開示することになる場合、消費者がこれを見落としやすいという問題提起がなされ、今回の改正案では、必ず掲示物のタイトル(題目)または冒頭部分に表示文言を掲載するものとしました。
2) 開示義務のある経済的利害関係の例として「未来・条件付き経済的利害関係」の明示
最近SNSにおいて、△購入リンク等が含まれた商品コメントの作成後、これを通じた売上業績に応じて事後に対価を受け取る、または△インフルエンサーが直接購入した商品に対するコメントを作成した後、その対価として購入代金の払戻を受ける類型のマーケティングが流行しています。しかし、既存の審査指針においては、事前に広告主から経済的対価を受け取った場合に限り、これを開示する義務があるものと解釈される余地がありました。従って、今回の改正案では、開示義務のある経済的利害関係の例として、未来・条件付により経済的対価を受け取る場合を明示し、そのような場合にも、これを開示しなければならない旨を明確にしました。
3) 明確でない表示文言の例として「条件付き・不確定な表現」の明示
経済的利害関係の表示文言は明確でなければなりません。今回の改正案は、「所定の手数料の支給を受けることができる」等のような条件付き・不確定な表現を明確でない表示文言の例として追加し、条件付き・不確定な文言は使用できないようにしました。
3. 示唆点および留意事項
審査指針に違反する表示・広告は、不当な表示・広告に該当する可能性が高く、このような場合、公正取引委員会は、当該違反行為の中止、是正命令を受けた事実の公表、訂正広告等のような是正措置を下すことができ、課徴金の賦課も可能です。さらに、このような不当な表示・広告行為は、刑事処罰の対象にもなり得ます。
特に公正取引委員会は、2021年から継続してSNS不当広告防止モニタリングを実施し、その結果を発表しており(2024年2月15日付の公正取引委員会報道資料および2023年2月7日付の公正取引委員会報道資料各参照)、2023年に続き、2024年の主要業務計画においても、SNS裏広告に対する規制の意思を明らかにしています。実際に公正取引委員会は、2024年7月25日に、(i)広告物を掲載したインフルエンサーに対して経済的対価を支給したにもかかわらず、経済的利害関係を明確に開示せず、隠蔽や漏れ事項がある状態で広告をした行為、(ii)商品、サービスを直接経験したり使用してみた事実がないにもかかわらず、まるで実際に使用してみたかのように広告する行為と関連し、2つの広告代行会社に対して是正命令および公表命令とともに課徴金(合計100万ウォン)の賦課決定を行いました。
今回の改正案は、非常に具体的なものであり、実際のSNS広告において頻繁に問題となる事案について扱っており、これに関して公正取引委員会は『業界とインフルエンサー等が改正された内容を遵守できるよう積極的に広報し、オンライン・モニタリングを通じて常時点検する計画』であると明らかにしています。また2025年2月14日からは、ダークパターン規制に関する改正電子商取引法も施行されます。このように不当な表示・広告およびダークパターンを利用したマーケティング関連の規制が一層強化されているため、関係当事者としては、改正法令および審査指針の内容を正確に把握し、SNSを中心とする全般的なマーケティングや広告運営の実態を点検し、法に違反する状況が発生しないように注意する必要があります。