2020年10月8日付で「発電事業細部許可基準、電気料金算定基準、電力量計許容誤差および電力系統運営業務に関する告示」(以下「発電事業細部許可基準」の一部改正(案)(以下「本改正(案)」といいます。)が行政予告され、発電事業許可申請のための風況計測の有効地域を正方形の形でも設定することが可能になりました。本改正案につき、2020年10月28日付で意見をまとめる期間が終了しており、2020年11月10日付の産業通商資源部の報道資料によると、本改正案は原案のとおり確定となり、施行後の発電事業許可申請の件に対して適用されるものと予想されます(本改正案[別表2]附則第2条)。

本改正案により、発電事業者が発電事業許可を正方形の形で申請することができるようになりました。それにより、従来より発電事業許可申請者のタービン配置に対する裁量が拡大され、タービンもより効率的に配置することができ、計測器を発電団地の最外郭に配置できるようになり、団地開発後も風況計測等において既存の計測器を持続的に活用できるものと期待されます。

1.現行の規定

事業者が風力発電事業許可を申請する際には、1年以上の期間をおいて風況計測器を設置して確保した該当地域の風力資源測定資料を必ず提出しなければなりません。現行の条項は、風力資源の測定が認められる有効地域を、「平坦な単純地域または共有水面」の場合、計測器の設置地点から半径5㎞以内の地域と定めており、有効地域の優先権は、設置許可を受けた時点を基準に認めています。

現行の発電事業許可細部許可基準 別表2.風力資源計測および風力発電敷地重複に関する適用基準

4.「風力発電機が設置される地点の風の状況を把握できる計測器の有効地域(以下「有効地域」という。)」は、次のとおりである。

イ.平坦な単純地域または公有水面:半径5㎞以内
ロ.山岳、傾斜(傾斜度17度以上)の激しい複雑地域:半径2㎞以内
ハ.単純地域と複雑地域が混在する地域:風況計の位置を基準に該当地域の有効地域を適用
ニ.陸上と公有水面が混在する地域:計測器の位置を基準に該当地域の有効地域を適用

5.風力発電の敷地重複に対する計測器の優先権認定範囲(国公有地および共有水面に当たる。)

同一地域に多数の者が計測器を設置した場合、有効地域の優先権は、設置許可を受けた時点を基準とする。

ところが、風力発電施設の設置や風力発電機の団地配置は、一般的に四角形または多角形の形で行われるため、現行の条項による円形の有効地域は、発電施設の敷地として活用できない面積が発生します。業界では、これにより空間の無駄遣いという指摘がありました。


2.本改正案の内容

本改正案によると、計測器の設置地点から半径5㎞以内の円形地域に対しては、従来と同様に計測器の設置許可を先に受けた者の有効地域の優先権を保障しながらも、第三者が設置した計測器の有効地域(かかる第三者が計測器を先に設置することで、有効地域の優先権を有しているか否かは関係ない。)を侵犯しなかったり、かかる第三者の同意を得れば、計測器を含めた正方形面積の最大100㎢の有効地域が認められるようにする但書条項が追加されました。ただし、計測器1器当たり許容される発電団地開発面積は、従来と類似して有効地域内80㎢まで設置することができます。

4.「風力発電機が設置される地点の風の状況を把握できる計測器の有効地域(以下「有効地域」という。)」は、次のとおりである。

イ.平坦な単純地域または公有水面:半径5㎞以内。ただし、計測器設置許可を受けた他の事業者の有効地域と重複していないか、同意(優先権の有無とは無関係。)がある場合、計測器を含めた正方形面積の最大100㎢とすることができ、この場合、発電団地面積は、有効地域内80㎢まで可能

ロないしニ.(既存と同じ。)

 

本改正案により、計測器を発電団地の最外郭に配置することも可能となるため、有効地域が重複する事業者がいないか、該当事業者から同意を得ることを前提に、理論上は、計測器設置地点を基準に合計4つの正方形面積に該当する地域内のどの地点でも任意で正方形を選定し、有効地域の認定を受けることができます。



 

したがって、従来より発電機を設置できる有効地域の形態および地点につき、発電事業許可申請者に対してより大きな裁量権が与えられたと言うことができ、タービンもより効率的に配置することができるものと思われます。

ただし、共有水面において風力発電事業許可申請者の間で敷地重複問題が発生する場合、有効地域内の計測器の優先権は、依然として従前の円面積の範囲を基準に与えられるものと解釈されます。すなわち、計測器の設置地点から半径5㎞を離れた地域に計測器を設置した者(B)がいる場合、かかる円外の計測器設置者(B)が、計測器を円面積の内側に設置した者(A)よりも後に計測器を設置したとしても、円中の計測器設置者(A)は、円外の計測器設置者(B)の同意を得る場合に限り、かかる円外の設置者(B)の有効範囲内で正方形面積を有効地域として発電事業許可を申請することができます。
 

3.示唆点

本改正により、計測器の有効地域の範囲において発電事業許可申請者の裁量権がより幅広く認められることになり、風力発電団地をより効率的に設計できるものと期待されます。

ただし、最近風力発電に対する関心が高まるにつれ、風力発電を推進する事業者らの間で敷地重複問題が頻繁に発生しているところ、本改正により風力発電事業者間における重複敷地紛争がさらに激しくなる虞もあります。事業者が有効地域として設定できる敷地の範囲が拡大され、他の事業者の有効地域の敷地と重なる可能性がさらに高まったためです。

また、有効地域の優先権について定めている発電事業細部許可基準等に関する告示は、法令の委任を受けずに制定された行政規則であり、このように、法規ではない行政規則を根拠に、風況計測器の有効範囲の優先権を発電事業許可申請者に適用できるか否かについては、依然として異論の余地があるものと判断されます。

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