情報保護責任者(Chief Information Security Officer、以下「CISO」といいます。)の指定・申告制度を整備する『情報通信網の利用促進と情報保護等に関する法律』(以下「情報通信網法」といいます。)の改正法律案が2021年5月21日に国会本会議を通過しました。同改正法律案は、2021年12月9日付で施行される予定です。

 

1. 主な内容

■ CISOの指定・申告制度の整備

- 上記改正法律案では、CISOの資格を「大統領令に定める基準に該当する役職員」と定め、CISO指定義務違反(未指定および資格条件未達)に対する過料条項を新設しています。
- 大統領令に定める一定の基準に達しない情報通信サービス提供者の場合には、CISOを申告しないことができるものとしています。

■ CISO業務の明確化

- 情報保護の発展方向等を反映し、CISOの総括業務の内容および兼職できる業務を明らかにしています。

[CISO業務(第45条の3第4項)比較]

  現行法 改正法
  総括業務
  1. 情報保護管理体系の樹立および管理・運営
2. 情報保護の脆弱点の分析・評価および改善
3. 侵害事故の予防および対応
4. 事前の情報保護対策づくりおよびセキュリティ措置の設計・実現等
5. 情報保護の事前保安性の検討
6. 重要情報の暗号化およびセキュリティ・サーバー適合性の検討
7. その他同法または関係法令により情報保護のため必要な措置の履行
1. 情報保護計画の樹立・施行および改善
2. 情報保護の実態と慣行の定期的な監査および改善
3. 情報保護リスクの識別評価および情報保護対策づくり
4. 情報保護教育と模擬訓練計画の樹立および施行
  兼職できる業務
    1. 『情報保護産業の振興に関する法律』第13条による情報保護公示に関する業務
2. 『情報通信基盤保護法』第5条第5項による情報保護責任者の業務
3. 『電子金融取引法』第21条の2第4項による情報保護責任者の業務
4. 『個人情報保護法』第31条第2項による個人情報保護責任者の業務
5. その他同法または関係法令により情報保護のため必要な措置の履行

 

2. 関連企業らに対する示唆点

現行の情報通信網法は、情報通信システム等に対するセキュリティおよび情報の安全管理に向け、情報通信サービス提供者が役員レベルのCISOを指定し、これを申告するものとしています。各企業において指定されたCISOは、企業内の情報技術部門の安全性の確保、ユーザーを保護するための戦略と計画の樹立、セキュリティ事故の予防および措置等の情報保安業務を総括する役割を行わなければなりません。

現行法では、「役員レベル」という地位が曖昧で企業がこれを悪用しているという指摘があり、不適正な指定・申告があったにもかかわらず、関連法律によりこれを制裁する手立てがなかったため、CISO指定制度の実効性の確保に限界があるという批判がありました。これを受け、改正法は、CISOの資格を大統領令に定める基準に該当する役職員と改正し、兼職のできる業務を明示しています。

科学技術情報通信部は施行令の改正により、①兼職制限対象企業(直前の事業年度末における資産総額が5兆ウォン以上または情報保護システム(ISMS)認証の義務対象企業のうち資産総額が5千億ウォン以上の企業)を除いた中小企業の場合、代表者または部長レベルの職員も情報保護最高責任者に指定できるよう許容し、②情報保護の必要性が高い「中企業」以上に対しては、CISOを申告するものとし、申告義務が免除された企業は、代表者をCISOとみなすという計画を明らかにしています。

今回の情報通信網法の改正により、CISOの資格が一部緩和され、兼職できる業務が法律に明示されたという点で一部の規制が緩和されてはいますが、CISO指定義務に違反した場合、過料賦課の対象になるということが明示されているため、企業らはCISO指定義務を果たし、過料賦課とならないよう留意する必要があります。

 

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