1. 技術分類別の定義及び関連法令
先端技術とは、技術集約度が高く革新速度が速い技術であり、産業通商資源部(以下「産業部」)長官が「産業発展法」第5条に基づき指定・告示する技術を指します。指定・告示された先端技術は、産業技術の流出及び保護に関する法律(以下「産業技術保護法」)に基づく保護を受け、関連支援特典(研究開発特区税制減免、外国人投資現金支援、E7ビザ等)が提供されます。
国家核心技術とは、国内外市場における技術的・経済的価値が高い、または関連産業の成長潜在力が大きく、海外流出時に国家安全保障・国民経済に重大な悪影響を及ぼす恐れがある技術として、産業部長官が産業技術保護法第9条に基づき指定・告示する技術を指します。すなわち、安全保障・経済的重要性が大きい産業技術が核心技術として指定され、指定された技術は各種保護措置と輸出・移転規制の対象となります。
国家先端戦略技術(以下「戦略技術」)とは、サプライチェーン安定化など国家・経済安全保障への影響及び輸出・雇用など国民経済的効果が大きく、関連産業への波及効果が顕著な技術として、産業部長官が「国家先端戦略産業の競争力強化及び保護に関する特別措置法」(以下「国家先端戦略産業法」)第11条に基づき指定・告示する技術を指します。戦略技術リストは、半導体・ディスプレイ・二次電池・バイオ・ロボット・防衛産業などの先端産業分野で毎年更新されています。
2. 指定手続き及び法的効果
● 先端技術:産業部長官は約1~2年周期で産業界の需要と技術波及効果を検討した後、先端技術の範囲を告示で改正・確定します。企業は保有技術の「先端技術該当の有無」を産業部に申請し確認書を受け取ることができ、確認書が発行された技術は産業技術保護法上の保護対象産業技術とみなされ、各種特典(法人税減免、現金支援など)が提供されます。
● 国家核心技術:産業部長官は産・学・研関係者などが参加する国家核心技術委員会の審議を経て、技術分野別リストを指定・告示します。2025年には電気電子・金属・宇宙分野で3つの技術が新規指定され、既存リストのうち6分野15技術が改正されました。国家核心技術として指定・告示された技術を保有する企業は、国家核心技術保有機関として登録され、産業技術保護法の適用を受け、当該技術の外部移転時には承認・届出義務などが課されます。
● 戦略技術:国家先端戦略産業委員会の審議を経て、毎年先端産業別に具体的な技術を指定・告示します。2023年には17の技術が指定・告示され、2025年にはロボット・防衛産業分野で2つの技術が新たに指定・告示されました。指定・告示された戦略技術は国家先端戦略産業法に基づく保護・育成対象となり、技術流出防止及び投資誘致などのための規定が適用されます。
3. 主要規制の比較(輸出、海外買収・合併、海外移転、投資)
● 先端技術:先端技術については別途の輸出管理規定を設けていません。先端技術認証を取得すると当該技術は産業技術保護法上の「産業技術」として保護されますが、国家核心技術に指定されない限り、産業技術保護法に基づく輸出・移転管理対象ではありません。
● 国家核心技術:国家核心技術を保有する企業等が当該技術を海外移転・売却・ライセンス供与・共同研究等を行う場合、産業部長官の事前承認(国家から研究開発費の支援を受けた場合)または届出(国家から研究開発費の支援を受けていない場合)手続きを経なければなりません。また、国家核心技術を保有する企業等が海外買収・合併、合弁投資等の外国人投資を行う場合にも承認・届出義務が課されます。産業部長官は国家核心技術の輸出及び海外買収・合併について中止・禁止・原状回復等の措置命令を発令でき、違反時には1日当たり最大1,000万ウォンの履行強制金が賦課されます。また国家核心技術保有企業等は技術施設の保護区域設定、研究人材管理、秘密保持契約締結等の保護措置の履行対象となります。産業技術保護法施行令と産業技術保護指針(産業部告示)で定めている「輸出」及び「海外買収・合併」の例示は以下の通りです。
- 輸出:①外国企業等への国家核心技術の売却、②外国企業等への資料転送、譲渡、技術指導、委託研究、委託生産、人材の長期派遣等を通じた国家核心技術の移転、③外国機関等への実質的な国家核心技術の移転・共有を目的として行われるセミナー、講義、学術発表等、特定機関との技術協力や情報交換、④国家核心技術が実質的に移転・共有される外国企業等との研究及び共同研究への参加(外国企業等が研究開発費を負担して実施する国家核心技術関連の国際共同研究を含む)、⑤国家核心技術に該当する特許権の譲渡または実施権を許諾しながら関連営業秘密等の非公開技術の付随移転、⑥国家核心技術に該当する特許権の譲渡、専用実施権の設定等による譲受人または実施権者への当該技術に対する実質的な排他的支配権の移転、⑦外国政府及び機関等に対する国家核心技術に関する設計・製造上の欠陥及び妥当性分析、信頼性検証等のための研究委託資料の提供、⑧外国政府及び機関等に対する国家核心技術関連の海外認証、許認可のための技術資料の提供、⑨外国裁判所、国際貿易委員会(ITC)等への提訴、訴訟対応のための国家核心技術資料の提供、 ⑩クラウドサービスまたはこれに類似するサービスに保存された国家核心技術に対する外国企業等のアクセス権限付与・閲覧・使用等の許容、⑪既存の輸出承認を通じて国家核心技術を移転された海外法人の新設事業場(工場)への技術再移転、⑫上記1号から11号以外の方法で国家核心技術を輸出しようとする行為
- 海外買収・合併:①外国人が単独で、または(1)一定範囲内の親族もしくは(2)主要株主または主要持分権者との契約または合意により、主要な意思決定や業務執行に支配的な影響力を行使し、代表者を任免し、または役員の50%以上を選任できる会社と合算し、国家核心技術を保有する対象機関の株式または持分*(以下「株式等」)を50%以上所有する、または50%未満を所有しようとする場合であって、株式等の最多所有者となり役員選任や経営に支配的な影響力を行使できるようになる場合、②外国人が国家核心技術を保有する対象機関の営業の全部または主要部分の譲受・賃貸借または経営の受託方式により当該機関を経営しようとする場合、③外国人が国家核心技術を保有する対象機関に資金を貸付または交付しながら、過半数以上の役員選任に支配的な影響力を行使できる場合
* 将来、株式または持分へ転換する権利、または株式または持分を取得する権利を含む。
● 戦略技術:国家先端戦略産業法では、戦略技術について産業技術保護法に基づく保護措置を準用しており、戦略技術の輸出及び海外買収・合併についても産業技術保護法に基づく規制を準用しています。ただし、①国家から研究開発費の支援を受けたか否かに関わらず、戦略技術の輸出・海外買収・合併は承認対象である点、②産業技術保護法上の停止・禁止・原状回復等の措置命令不履行時に賦課される履行強制金制度は導入されていない点、③戦略技術を扱う専門人材の指定、離職制限・秘密保持契約締結、出入国情報提供申請手続きなどが追加的に設けられている点において、国家核心技術に対する規制とは差異があります。
4. 規制強度及び支援特典の比較表
| 技術分類 | 規制強度 | 主な保護措置 | 政府支援特典 |
| 先端技術 (産業発展法) |
低:別途の輸出等の承認を必要としない。 | 保護区域・人材管理義務なし。 | 税制・資金・人材支援(研究開発特区税制減免、外国人投資現金支援、E7ビザなど) |
| 国家核心技術 (産業技術保護法) |
高:輸出、海外買収・合併時に事前承認/届出義務を課す。停止・禁止・原状回復措置命令の不履行時には履行強制金を賦課 | 指定企業に保護区域を設定、研究施設・人材に対する保護措置義務を課す。 | 別途の直接支援なし(主に技術流出防止目的) |
| 戦略技術 (国家先端戦略産業法) |
高:国家研究開発費支援の有無に関わらず、産業技術保護法を準用し輸出、海外買収・合併時に事前承認義務を課す。履行強制金制度未導入。 | 産業技術保護法を準用し保護措置義務を課す。専門人材に対する追加的な管理・統制を要求。 | 租税減免など政府支援を提供(国家核心技術よりも高い水準の支援) |
5. 示唆点
●技術分類判定:企業は保有技術が先端技術、国家核心技術及び戦略技術のいずれに該当するか事前に把握する必要があり、不明確な場合は管轄機関に判定申請を行い、保有技術に対する規制リスクを事前点検する必要があります。
● 規制対応の準備:保有技術が国家核心技術または戦略技術に該当する場合、あるいは新たに国家核心技術または戦略技術に指定される場合、輸出及び海外買収・合併時には承認・届出義務と保護措置義務を遵守しなければなりません。輸出等の契約前に輸出手続きが一部免除される場合を除き、委員会審議等の手続きを経る必要があるため、これを関連取引スケジュールに事前に反映させる必要があります。保有技術が国家核心技術と戦略技術の両方に該当する場合、保有企業は両法令に基づく手続き・規制遵守の有無を検討する必要がありますが、戦略技術の輸出または海外買収・合併について国家先端戦略産業法に基づく承認を受けた場合には、国家核心技術について産業技術保護法に基づく承認を受けまたは届出を行ったものとみなされるため、不必要な重複手続きを経る必要はありません。
● 支援制度の活用:先端技術または戦略技術を保有する場合、各種支援・特典の対象となるか否かを検討し申請する必要があります。
● 関連法令及び告示改正の有無のモニタリング:政府は関連産業動向を反映し告示リストを随時変更しているため、継続的なモニタリングと内部管理が必要です。また輸出、海外買収・合併関連規制が次第に強化されているため、関連制度の改正の有無についても継続的に注視する必要があります。
法務法人(有)世宗の産業技術保護センターは、産業通商資源部出身の顧問及び専門委員、知的財産権専門グループの特許裁判所部長判事出身の弁護士をはじめとする弁理士、 薬剤師などの資格を兼有する各技術分野の専門弁護士、警察または検察において産業技術・営業秘密流出事件を直接指揮または捜査した経験が豊富な刑事専門弁護士及びデジタルフォレンジック専門家などで構成されており、産業技術に対する深い理解と精密な法律理論、分野別専門家間の相互協業を通じて、産業技術・営業秘密に関連する法的・行政的問題を含む依頼者の多様なニーズを満たす最適なソリューションを提供しています。




