1. 中小・中堅企業の保税工場施設材に対する関税減免の新設(租税特例制限法第118条)

今回改正された租税特例制限法(以下「租特法」という。)第118条は、加工貿易の支援等のために運営している保税工場制度に対する中小・中堅企業の利用率を高めるため、中小・中堅企業の保税工場施設材関連の関税減免規定(第22号)を新設しました。改正された内容を検討すると、関税法に基づいて保税工場の設置・運営に関する特許を取得した中小・中堅企業における保税工場の使用に向けて、2022年12月31日までに輸入する機械および装備のような施設材として、国内における製作が困難な物品について関税を免除するように定めています。上記のような租特法改正前の保税工場では、輸入原材料の場合、課税保留の状態で使用することができたものの、施設材の場合、関税納付(通関)後に使用するものとなっていました。

2. 再輸入物品に対する関税免除対象の拡大(法第99条、施行規則改正案第54条)

再輸入に対する免税は、原則的に、輸出された物品として海外において製造・加工・修理・使用されず、2年以内に再度輸入される物品を対象としています。なお、例外的に、使用された物品であっても博覧会、展示会、品評会等に出品・使用される物品や賃貸借・請負契約等に基づく一時的な使用のために輸出された物品の場合にも、免除の対象に含まれます。改正法は、輸出企業および国際競技大会への参加等を支援するために、上記のような例外の範囲をより拡大して設置・組立・荷役装備、品質測定機器等の輸出過程において必要な物品、国際競技大会への参加等のために、一時的に持ち出される運動関連用品、および欠陥により1年以内に返品される輸出物品等も免除の対象に含める予定です。

3. FTA特恵関税における事後適用申請期限の例外規定の新設(FTA特例法第9条、同法施行令改正案第5条)

輸入申告の受理を受けるまでに協定関税の適用申請ができなかった輸入業者は、該当物品の輸入申告の受理日から1年以内に協定関税の事後適用を申請することができます。また、改正法によると、今後は、輸入申告と異なる品目分類の適用により税額が更正された場合にも、輸入業者は、上記のような一般的な協定関税の事後適用申請期限とは無関係に、納税告示を受けた日から45日以内に協定関税の事後適用申請が可能となり、救済の道が開かれました。一方、協定関税の事後適用を申請する場合、原産地証明書の提出が必要になるものの、FTA協定別に協定関税の事後適用申請時点において、原産地証明書の発給期限が経過してしまう事態が発生することもあり、上記のような改正の効果は制限的であるため、注意が必要です。

4. その他主な改正内容

イ. 通告処分時に納付する金額の引上げ、通告処分免除の新設および免除基準の設定(法第311条、施行令改正案第270条の2)
• 罰金最高額の20%から30%へと上方修正される予定である。
• 納税者の負担を緩和するため、軽微な関税法違反行為に対して通告処分を免除できるものとする。
ロ.輸入物品購買代行業者登録制の導入(法第222条)
• 輸入物品の購買代行に対する体系的な管理・監督と、国内消費者の保護に向けた輸入物品購買代行業者登録制を導入する。
• 2021年7月1日から施行する。但し、施行当時に購買代行業を営んでいる者は2022年6月30日までに登録したものとみなす。