法務法人(有限)世宗の「メタバース+NFTチーム」においては、最近注目を浴びているメタバースとNFTに関する法的イシューについて紹介するニュースレターを定期的に発行する計画です。今回のニュースレターでは、まずメタバースにおいて発生し得る主な法的争点を概括的に検討していきます。
1. メタバース(Metaverse)の意義
メタバースは、Meta(超)とUniverse(宇宙) を組み合わせて出来た単語です。未だに明確な概念の定義づけがないものの、通常、メタバースは拡張された現実世代または新たな仮想の世界がインターネットにつながるデジタル空間として定義されています。ASF(Acceleration Studies Foundation)の説明によると、ポケモンGOのような拡張現実 (Augmented Reality)、フェイスブック(META)のようなライフログ(Life Logging)、各種配達アプリのようなミラーワールド(Mirror Worlds)、オンラインゲーム等の仮想世界(virtual Worlds)が全てメタバースに含まれますが、メタバースは遠い未来の話ではなく、すでに始まっているものと見られます。
2. メタバースの現況と展望
メタバースの代表的なケースとしては、すでに各々数億人に達するユーザーを確保している「ZEPETO(ゼペット)」、「Roblox(ロブロックス)」や「FORTNITE(フォートナイ)」を例に挙げることができます。同サービスが提供する仮想世界の中で、ユーザーは「アバタ」を通じて自身を表現し、他者とコミュニケーションをとりながら現実と繋がった経済活動を営んでいます。特に、ZEPETOで「アバタ」の衣装を製作・販売するクリエイターが月に1,500万ウォン相当の収益を上げていたり、有名歌手のトラビス・スコットが FORTNITEの世界に創った仮想空間で45分の公演を行い、総観客数2,770万人、総収益2、000万ドルを稼ぎ出したというニュースはよく知られています。
最近では、代表的なメタバース(仮想世界)サービスであるオンラインゲーム会社が、ゲームで通用するゲームマネーをブロックチェーン・仮想通貨に両替したり、ゲームのキャラクターとアイテムをNFT(Non Fungible Token)で発行するなどの方法を使い、ユーザーがゲームを楽しみながら実際に収益を上げられる、いわゆる「P2E(Play to Earn)」ゲームを展開しており、全世界的に大きな反響を得ています。
またメタバースは「新たな文明」とも呼ばれています。実際にメタバースは、VR機器、通信・ネットワーク、クラウド、AI、ブロックチェーン、NFT等の関連技術の発展に加え、人々に時空間の制約がない驚き満載の経験が得られ、前例のない世の中の変化と新規市場を開拓してくれるものと期待されています。
3. メタバースで予想される法的イシュー
米国軍用車「ハンヴィー(HMMWV)」を製造するAMジェネラル社は、「Call of Duty」という戦闘ゲームにおいて、同意を得ずにハンヴィー軍用車が描写・使用されているという理由から、商標権侵害等の訴えを申し立てました。しかし、ニューヨーク南部地方裁判所は、「当該ゲームは、臨場感を出すためにハンヴィーを用いたもので、消費者においてハンヴィー製造メーカーがどこなのか混同させる懸念がない」との敗訴判決を下しました。
FORTNITEには、自身のキャラクターがダンスや感情表現の動作ができるようにする「emotes(エモート)」というアイテムが存在するものの、有名歌手や俳優の特徴をとらえたダンスや動作を彼らの許可を得ずにエモート・アイテムとして制作・販売した行為に対し、著作権侵害等が問題となりました。これに対し、2019年に米国著作権庁では、単なる動作に過ぎないのであれば「振付著作物」として見ることができないという見解を明らかにしています。
全米音楽出版社協会(NMPA)は、RobloxのユーザーがゲームでBGMを無断使用したという理由で、Robloxに対し訴えの申し立てをしたところ、Robloxがライセンスゲームを締結するとして合意に至りました。最近では、ハイブランドメーカーのエルメス社が、自社の代表商品であるバーキンバックを許可なくNFT制作し、メタバースの空間で販売した作家に対し、商標権等を侵害した行為であると公式に警告したというニュースも流れました。
上記のような知識財産権に関連するイシュー以外にも、メタバースでは、多様な法的イシューが発生するものと予想されています。メタバースの世界でアバタの全ての行動と動線が、まるでCCTVのように監視または記録されることもあり得、技術の発展により、ユーザーの視線や身体反応までも収集され得るという懸念に関し、個人情報保護の問題が浮上しています。メタバースのアバタに対するセクハラ行為やストーカー行為等は、ニュースでも報道されたことがあるだけに、すでに現実のものとなっている問題です。また、メタバース内部における差別行為、政治的な先導行為、名誉棄損、メタバース・プラットフォームの独占問題、プラットフォーム運営約款の自律性と規制の問題など、様々な法的イシューが提起されるものと思料されます。
何よりも、メタバースにおける経済活動の実現に関連し、注目されているブロックチェーンの技術および仮想通貨並びにNFTを巡る法的イシューが様々な側面で提起されており、これに対する保護や規制など、立法議論も活発に行われています。特に、最近注目を浴びているNFTが特定の金融取引情報の保護および利用等に関する法律(特金法)上の「仮想資産」に該当するか否かにつき、活発に議論されており、ゲーム産業振興に関する法律につき、SNS基盤のメタバース・プラットフォームも「ゲーム」に該当するのか、仮想通貨およびNFT等を利用したP2Eゲームが現行法上の国内のいて許容され得るかについても論争がなされています。
4. 結び
世界は、前例のないスピードで発展を遂げており、パラダイムもまた急変しています。法務法人(有限)世宗は、新たな技術と産業の発展の動向について見守りながら、先手を打って法的イシューを見つけ出し、かつその解決策を提示し、新たなメタバース時代に見合った法制度の改善と発展策に関しても研究を続けていきます。
弊社は、メタバースとNFTおよび新技術、新産業に関する法的イシューを検討するニュースレターを定期的に発行していくところ、今後も多くの方々にご関心をもって頂けれるようよろしくお願い致します。
法務法人(有限)世宗の「メタバース+NFTチーム」は、知識財産権、情報保護、フィンテック、仮想資産、公正取引、立法諮問および関連分野の専門家により有機的に構成されています。メタバース、NFTに関連する立法、行政上の各種規制(税務、独占規制等を含む。)、ゲーム関連の法律、著作権等のIPイシュー、個人情報イシュー、E-commerceのイシュー等において、最適なソリューションをご提供させて頂いております。
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