2026年1月16日付で2025年改正税法に関する施行令改正案(以下「施行令改正案」といいます。)が発表されました。施行令改正案は2026年2月5日までに立法予告が行われ、2月中に公布・施行される予定です。国際租税分野の主な改正事項およびその示唆点は、以下のとおりです。

 

1. 主な改正事項

ア.国内追加税の導入に伴う詳細事項の規定1

今回の施行令改正により、グローバル・ミニマム課税(Pillar 2)*の国内追加税に関する詳細な施行規定が整備されます。

* 年間売上7億5千万ユーロ以上の多国籍企業の所得に対し、最低15%の実効税率を適用して課税する制度(Global Anti-Base Erosion、いわゆる「Pillar 2」といいます。)。 これは低税率国への所得移転による租税回避を防ぐために経済協力開発機構( OECD)主導で導入されたものとして、韓国では2024年から施行(2026年6月末に初の申告納付義務発生)されています。 

具体的には、国外本店が国内支店の所得について会計上認識している対象租税や、海外株主企業が内国構成企業の配当等に対して会計上認識される対象租税等は、わが国の国内追加税額計算時に調整対象租税から除外されます。また、固定事業場で発生した所得につき、いずれの国家においても課税しない、いわゆる「第4型固定事業場」が国内追加税の適用範囲に含まれます。 

また、各内国構成企業に対する国内追加税額の配分方式のうち、法定配分方式における詳細基準が整備されます2。施行令改正案では、法定配分方式は国内追加税額を各内国構成企業のグローバル・ミニマム課税所得に基づいて配分することを原則としており、その他、該当事業年度において多国籍企業グループの純グローバル・ミニマム課税所得はないものの、過去事業年度における実効税率や国内追加税額を再計算するなどの事由により、当期国内追加税額加算額が発生した場合の配分方式についても別途規定しています(例:各内国構成企業の当該加算額発生事由が発生した過去の事業年度におけるグローバル・ミニマム課税所得金額を基準に配分するなど)。 

上記の改正事項が確定した場合、2026年1月1日以降に開始する事業年度より適用されます。

イ.移行期適用免除の適用期限延長3 

最近発表されたOECDグローバル・ミニマム課税の合意内容(Side-by-Side Package)*に基づき、移行期適用免除期限が1年延長されました。これにより、事業年度開始日が2027年に属する場合でも、簡易の実効税率が17%以上であればグローバル・ミニマム課税の追加課税が免除されます。

* 経済協力開発機構(OECD)とG20加盟国が参加する包括的枠組み(Inclusive Framework, “IF”)がグローバル・ミニマム課税制度の改編案として発表したもので、ここでは、計算が複雑なグローバル・ミニマム課税の適用に向けた企業サイドの事前準備を目的として、移行期間適用免除の適用期限を1年延長し、2027年度までは並行使用を可能とするものに関しての説明です。

ウ.正常価格算定方法の事前承認申請に関連する部分税務調査の範囲拡大4 

一般的に税務調査は、納税者における正常価格算出方法の事前承認(「APA」)申請により中断されることはありません。ただし、税務調査事前通知前にAPAの申請があった場合に限り、APA対象期間の国際取引に対する移転価格調査の猶予をすることができます5

今回の施行令改正案は、APA申請後に取消・撤回または手続きが中断された場合、当該申請内容を確認するため部分税務調査を実施できることを明示的に規定し、APA申請に伴う移転価格調査の猶予が不当に長期化しないようにしました。 

上記の改正事項が確定した場合、施行令施行日以降に税務調査を開始する分から適用されます。

エ.外国法人における連絡事務所現況明細書提出義務不履行に対する過料の具体化6 

2025年末に改正された法人税法によると、2026年以降、外国法人の連絡事務所が現状明細書(連絡事務所の基本事項、外国法人本店との取引状況および国内の他の支店状況等を記載した様式)を提出しない場合、または虚偽提出される場合、これに対する課税当局の是正命令を履行しない場合には、最大で金1,000万ウォンの過料が賦課される虞があります。今回の施行令改正案は、上記法人税法上の過料金額を法律で定めた範囲内において500万ウォンと定めました。上記の改正事項が確定した場合、2026年1月1日以降に提出義務を履行しない者に対して適用されます。
 

2. 示唆点

今回の施行令改正案では、内国追加税の細則規定等を通じてグローバル・ミニマム課税制度を精密に整備するとともに、移行期適用免除を1年延長して企業の履行負担を緩和しました。また、APA申請取消時に部分税務調査が可能となるようにしましたが、これは税務調査猶予制度の濫用を防止しようとする税務当局の意図が反映されたものとみられます。

グローバル・ミニマム課税に関連する争点がある企業やAPA手続きを進めている企業は、施行令施行後に発生の可能性のある税務リスクを事前に点検し、専門家の助言を通じて徹底的に対策をとる必要があります。
 

1 国際租税調整に関する法律施行令第125条の3ないし第125条の8
2 多国籍企業グループは、法定配分方式と指定配分方式のうちいずれかを選択して各国内構成企業に対し内国追加税額を配分することができます(国際租税調整に関する法律第73条の7第2項)。
3 国際租税調整に関する法律施行令第138条
4 国税基本法施行令第63条の12
5 国際租税事務処理規定第81条
6 法人税法施行令別表2