企画分析  

[中国の第15次5カ年計画に関する分析] 米中戦略競争が構造化した時代における中国の発展戦略 - 経済安全保障の全面化

 

1.第15次5カ年計画の重要性

去る3月13日に中国は、2026年~2030年の国家戦略を提示する『国民経済・社会発展の第15次5カ年計画』(以下「15次計画」といいます。)の要綱を発表しました。同文書は、3つの側面において極めて重要になります。

(1)まず、中国の5カ年計画は、宣言的なビジョンではなく、実行計画です。その内容は、予算配分、人事評価、地方政府における目標設定の根拠になります。拘束力のある指標として明示された数値は、党・政府において必ず達成しなければならない義務目標であり、独立したチャプターとして格上げされた議題は、今後5年間、実際の政策資源が集中する分野です。

(2)また、中国は、世界第2位の経済規模となる国家であり、韓国において最大の貿易相手国となります。5カ年計画が希土類・戦略鉱物の輸出規制を、単なる対応措置を超えて制度化すると明示すれば、これは韓国のバッテリー・半導体・防衛産業関連企業におけるサプライチェーンリスクが構造化していくことを意味します。中国が国内市場の整備を行って内需自給体制を構築すれば、韓国企業が中国において競争する方式そのものが変わります。

(3)さらに、今回の5カ年計画は、米中間における戦略的競争の行方を読み解く窓の役割でもあります。15次計画は、中国が米中戦略競争を一時的な摩擦ではなく長期的な構造として内面化したことを公式文書で確認しており、今回の計画において初めて、中国は経済計画と安全保障戦略の統合的な設計をスタートさせています。この流れが米中関係・台湾海峡の情勢・グローバルサプライチェーンの再編に及ぼす意味を理解するためには、15次計画に対する綿密な分析がその出発点となる必要があります。


2.第15次5カ年計画の把握

政権の連続性が保証されている中国では、5カ年計画のように、重要かつ周期的に繰り返される公式文書を正しく理解するためには、「直前文書との比較分析」という読み解き方が必要となります。

15次計画だけを見てみると、「AIを強調する」、「内需の拡大」など、文字通りにしか読み取れません。そのうえ、大部分の内容は、前回の5カ年計画の延長線上にあるかのように、同語反復をしているように見られます。しかしながら、第14次計画をもって詳細に比較してみると、AIへの言及が6回から51回に、供給サイドの構造調整に関する言及が6回から1回へと変化していることが読み取れます。これを通じて、変化の方向とその大きさを把握することができます。戦略文書に何が書かれているかと同じくらい重要になるのは、新たに何が追加され、何が省かれたかということです。

また、増加・減少する様々な政策概念間における全体的な比較を通じて、国家の意図や文脈を読み取ることができます。「国家戦略後方産業基地(国家战略腹地)」という概念を15次計画において初めて目にした場合、これは単に一つの新しい政策用語のように見えるかもしれません。しかしながら、経済安全保障に関連する政策用語の言及が全体的に以前に比べ大幅に増加していることを把握したのであれば、過去5年の間に対外環境に対して根本的な認識の変化があったことが読み取れます。このような比較分析を通じて、わが国の企業や政府の立場から、こうした変化に対応可能な戦略を策定することができます。


3.第15次計画における顕著な変化

15次計画は、本文において「高品質な発展の確実性をもってあらゆる不確実性に対応する」(以高质量发展的确定性应对各种不确定性)という文言で基調(主线)を要約しています。単に高い経済成長率(GDP)を追求するだけでなく、質的な産業構造の転換を実現させるというものです。そうした脈略から、GDP成長率の目標は4.5~5%へと下方修正され、過去のような低コスト・高効率の生産技術よりも、「新質生産力(新质生产力)」、すなわち、先端科学技術に基づいた生産力を核心的な手段として掲げています。これは、第14次計画の核心的な基調であった「供給サイド構造改革」(注1)とは対照的な変化になりま。

15次計画において明示的に言及されていないものの、全編を通しての真の変化は、経済と安全保障の統合、さらには総合的安全保障の枠組みへと視野を拡大している点にあります。文書のタイトルが『国民経済・社会発展』計画となっているため、安全保障を前面に打ち出してはいないものの、こうした観点は、15次計画の様々な部分において見受けられます。これは、過去の経済開発志向的な計画とは性格が異なります。中国では、自らが置かれた環境を「大国間の競争がますます複雑かつ激化している」(大国博弈更加复杂激烈)と認識しており、「安全保障」というキーワードが文書全体で実に158回も言及されています。

第14次計画がコロナウイルスや米中貿易摩擦という外的ショックに対する守勢的な対応の性格が強かったとすれば、15次計画は、米中戦略競争とそれによる不確実性がすでに構造的に定着したものと認識し、これを未来設計に内在化した積極的な性格を有する計画となっています。外部に依存する成長モデルから「内部で完結された成長モデル」への転換を、もはや先送りできないという判断が、その根底にあります。


4.第15次5カ年計画の4つの特徴

15次計画は、全18編62章で構成されており、極めて多様な分野を網羅しています。その大部分は第14次計画の延長線上にあり、各章の内容を深化・補強したものとなっていますが、以下の4つの点については、第14次計画とは明確な違いが確認できます。

(1)自強 — 技術と産業の自立

15次計画において最も多くの紙幅を割いている分野は、間違いなく科学技術と産業です。文書では「科学技術の自立・自強レベルの大幅な向上」を核心目標として明示し、全社会的なR&D投資の年平均7%以上の増加、核心技術の迅速なレベルアップ、源泉的革新能力の著しい強化を具体的な目標として提示しています。

これは単なる技術投資の拡大ではありません。文書では「新質生産力(新质生产力)の発展」を独立した編(第三篇)として編成しています。これは、先端技術革新が研究開発の下位課題ではなく、国家発展における原動力の核心軸であることを公式化したものです。

集積回路、産業用工作機械、先端計測器、基盤ソフトウェア、先端素材、バイオ製造などの核心的かつ鍵となる技術において、「超常規措置(超常规措施)」を動員し、決定的な突破(レベルアップ)を成し遂げると明記しました。そして、最前線領域に属する人工知能、量子技術、核融合、生命科学およびバイオ、脳科学、主要疾患の予防・治療および革新的な新薬開発、深海・深地・極地の探査、並びに深宇宙探査など、8つの科学技術分野に対する集中投資を明確にしました 。

また、コンピューティングパワーを電力・道路のような国家的公共インフラへと格上げし、全国的に一体化されたコンピューティンググリッドの構築と超大規模AIクラスターの建設を明記したことは、西側諸国の半導体輸出規制を迂回する自給自足の生態系を2030年までに構築するという意志を表していま。

一方、「企業の科学技術革新における主体的地位の強化」が独立したチャプターとして配置されており、政府主導の国家課題の遂行とともに、民間企業の革新への参加を制度的にサポートしようとする意図が読み取れます。これは、技術自立の主体を国家から企業へと拡大する戦略的な選択となります。

産業の側面では、「現代化された産業システムの構築」を第2編に位置づけ、伝統産業の高度化、新興産業と未来産業の育成、サービス業の高品質な発展を体系的に網羅しています。これは、過去5年間に科学技術分野で成し遂げた飛躍を、実質的な生産分野に統合しようとする中国の意志の表れであると思われます。

技術自強の核心的な論理は明確です。外部からの技術供給が遮断されたり制限されたりするシナリオにおいても、中国自国の技術力と産業体系が独立して機能できるようにすることです。これは米中技術競争の長期化に対する直接的な対応です。

(2)自給 — 消費と市場の拡大

15次計画は、「強大な国内市場の建設」を独立した編(第五篇)として構成し、消費の活性化と有効投資の拡大を通じて、内需主導型経済を完成させようとする意図を明確にしています。

消費の側面では、「消費の大幅な活性化」が独立した章として配置され、伝統的消費の向上、新型消費の育成、サービス消費の拡大を包括しています。「国際消費中心都市の育成」、「地域消費中心の建設」などの具体的なプログラムが提示され、消費インフラの空間的拡張を通じて、内需市場の深さと広さを同時に拡大しようとする戦略が示されています。

市場面においては、「国内統一大市場の建設」が強調されています。これは、地方保護主義と市場の分割を解消し、14億人の単一市場を実際に機能させようとする制度的な取り組みとなります。過去数十年間、各地方が輸出経済の中心であったため、地方間制度の不一致はもちろんのこと、地方政府が自地方の企業を支援する差別的な措置が蔓延していました。世界各国における保護貿易主義が強化され、輸出企業が国内にも目を向けるようになった時点で、分断された地域市場を早急に打破すべきであると認識しています。また、これを通じて輸入を増やし、他国との貿易紛争を緩和して関係改善を図るものです。「超大規模市場の優位性の持続的な発現」という表現は、外部需要の衝撃に対する備えであると同時に、米国のように、市場の規模を通じて対外的な交渉力を強化しようとする対外戦略であると把握されます。現在のサプライチェーンのレバレッジを、市場のレバレッジへとさらに拡大しようとするものです。

投資の側面においては、「有効投資の拡大」を通じて、新型インフラ、新型都市化、交通整備などの重要プロジェクトを推進し、これを通じて内需を牽引すると同時に、産業の高度化へと誘導するという二重の効果を追求しています。

「国内循環(内循环)の強化」の核心的な論理は、外部市場における変動性や貿易摩擦のリスクにさらされている輸出依存型の成長モデルから、自国の需要を基盤とする成長モデルへと転換することです。これは、中国経済の構造的な脆弱性を補完しようとする戦略的な選択です。

(3)備蓄 — レジリエンス(回復力)の確保

15次計画で注目すべき新たな概念は、「国家戦略後方産業基地(国家战略腹地)」と「核心産業バックアップ(关键产业备份)」です。台湾海峡での軍事衝突や西側諸国による経済封鎖の状況を想定し、核心産業と物資備蓄拠点を内陸に多重・分散して構築するというこの概念は、第14次計画にはなかったものです。これは、安全保障と経済の統合レベルが一段階アップしていることを公式に表現しています。

一方、安全保障関連の目標が具体的なものとなっています。「国家安全保障の障壁の強化」が別途の目標として設定され、その下位に食糧、エネルギー、公共安全、国防などの分野における具体的な数値が提示されています。数値が提示されたということは、これを政府機関の評価に適用することで、支障なく推進していくという強い意志の表明です。
食糧分野においては、食糧の総合生産能力を7億2500万トンに設定し、第14次計画の6億5000万トンから大幅に引き上げました。これは、有事の際に「食糧の絶対的な安全」を確保するという意志の表れとなっています。

エネルギー分野においては、年間の原油生産量を2億トンに維持し、エネルギー総合生産能力を58億標準石炭換算トン(吨标准煤)に設定するとともに、エネルギー消費総量に占める非化石エネルギーの割合を25%に引き上げるという目標を掲げています。これは、エネルギー安全保障とグリーン転換を同時に追求する二重目標となります。

備蓄の核心的な論理は、地政学的危機の状況下でも、国家機能が麻痺しないようにするための体系的な安全保障資産の構築です。これは単なる在庫の確保ではなく、サプライチェーンの遮断、金融制裁、エネルギー封鎖、さらには武力衝突など、様々なシナリオに対する総合的な対策です。

(4)社会的安保:人口・不動産・金融危機の克服に向けた取り組み

第14次計画で比較的に大きく取り扱われていなかった構造的危機の項目が、15次計画では独立した章へと格上げされました。少子化対策として、育児しやすい社会(生育友好型社会)の構築が独立した章になっていることが代表的です。独立したチャプターが設けられたということは、人口減少がもはや未来の問題ではなく、現在の成長に対する脅威として認識されたことを意味しています。出産育児休暇の延長・保育費用に対する税制優遇・公共の乳幼児保育施設の拡充が具体的な手段として提示され、人口問題は単なる福祉課題の枠を超え、経済成長戦略の核心的な変数へと格上げされました。

不動産に関する言及が急増し、恒大(ハンダ)事態以降の危機収拾が計画に直接反映されました。保障型住宅の供給拡大と都市再開発(城中村改造)の推進が核心的な手段となっており、不動産を景気対策の手段として活用しないという方針とリスク解消を並行させる構造になっています。

金融分野では、不動産・地方政府の債務・中小金融機関のリスク解消に向けた全方位的なモニタリング体制と金融安定長期基金の積み立てを明示し、第14次計画において潜在的なリスクとしてのみ言及されていた問題が、15次計画では積極的な解決課題へと変更されました。


5.韓国にとっての意味

15次計画に基づいて生じ得る環境の変化は、韓国政府と企業の双方に複合的な戦略課題を提起しています。

第一に、中国市場戦略の再構築です。全国統一大市場の構築と消費振興政策は、短期的には韓国の消費財・サービス企業に対して機会の提供となるものの、同時に、中国政府が自国企業の技術・ブランド競争力を集中的に育成しているため、韓国企業のポジショニング戦略は、従来の中間財輸出中心から、プレミアム消費財、サービス・技術協力中心へと転換されなければなりません。これと同時に、「高水準の対外開放の持続的拡大」を明記している点から、すべての分野が閉ざされるわけではなく、サービス業の開放、金融市場の開放、デジタル経済分野での協力などにおいて、依然として機会が存在します。

第二に、サプライチェーンの構造的再編です。希土類・希少金属・電池素材など、中国への依存度が高い品目について、調達先の多様化と戦略的備蓄体制の構築が急務となります。中国による輸出管理が計画の次元を超え制度化された以上、これを一時的な外交摩擦ではなく構造的なサプライチェーン・リスクとして認識し、中長期的な対応戦略を策定しなければなりません。また、中国の反外国制裁法と米国によるEAR・ITARなどの輸出管理の遵守要求が衝突する状況において、双方の規制を同時に考慮したリスク管理構造を設計する必要があります。

(注1)資本(設備)、労働、土地、制度などの生産要素の効率最適化を指します。実際には、過剰生産能力の削減、過剰在庫の削減、過剰債務の削減、コスト削減など、事実上の構造調整を意味します。

<参考>

用語(中国語) 日本語 第14次 第15次 増減
人工智能 人工知能 6回 51回 ▲ +45
算力 コンピューティングパワー 1回 23回 ▲ +22
算法 アルゴリズム 2回 11回 ▲ +9
数智化 デジタルインテリジェンス 0回 27回 ▲ 新規
新质生产力 新質生産力 0回 7回 ▲ 新規
全国统一大市场 全国統一大市場 1回 8回 ▲ +7
房地产 不動産 3回 11回 ▲ +8
生育 出産育児 9回 14回 ▲ +5
消费 消費 52回 76回 ▲ +24
供给侧结构性改革 供給サイド構造改革 6回 1回 ▼ −5

 

☞ How We Can Help

米国における対中技術・金融規制が精巧化され、中国が独自の輸出管理・制裁に関連する法制度を強化する状況下で、韓国企業は米中双方の規制が同時に適用される複合的なリスク環境に置かれています。法務法人(有)世宗の通商産業政策センターは、これに関連して以下のとおり、様々な分野において法的アドバイスを提供させて頂きます。

第一に、輸出管理およびライセンス・コンプライアンス輸出許可の取得にとどまらず、使用先の制限・再輸出の禁止・事後報告義務など、許可条件の長期的な遵守管理のサポートを行います。

第二に、中国の輸出管理・経済制裁関連の法制度への対応中国の輸出管理法・対外制裁法など、中国独自の法制度を分析し、米中規制の衝突が発生する二重拘束の状況において、実行可能な対応体制の設計・構築を行います。

第三に、サプライチェーンのリスク診断および再編中国への依存度が高い素材・部品を中心に規制リスクの暴露ポイントを識別し、調達先の多様化および戦略的備蓄策を考案します。

第四に、取引および協力構造のリスク検討中国企業とのM&A・合弁・技術協力の際、制裁リスク、セカンダリー制裁、評判リスクについて事前に総合的検討を行います。

第五に、政策モニタリングおよび戦略的助言:米中間における通商・技術規制の動向を継続的に追跡し、投資戦略および政府対応全般にわたる適切な分析を提供します。

 


 グローバル通商産業関連のイシュー・フォーカス  

資本市場&KOSDAQ市場の再編:企業が把握すべき事項

 

金融委員会は3月18日に『資本市場体質改善方案』を発表しました。その主な内容は、▴重複上場の原則的な禁止、▴自社株消却の原則的な義務化、▴英文開示義務法人の拡大、▴低業績企業に対する上場廃止および市場退出の誘導、▴低PBR企業の企業価値向上、KOSDAQ市場における2部リーグ制の運営等となっています。

「資本市場体質改善方案」に含まれる事項は、いずれも企業にとって影響の大きい事案です。KOSDAQ市場については、2つの区間に分ける「二重リーグ制」の導入を推進します。成熟した革新企業を中心とした「プレミアム」区間と、スケールアップ段階の企業を中心とした「スタンダード」区間とに分類し、両区分間におけるアップダウン制度を適用します。

一定の要件を満たせば上位市場へ移動し、基準に達していない場合には下位市場へと降格する構造になっています。別途、経営不振の懸念がある企業は「管理群」として分離します。経営不振の懸念がある企業まで含めると、事実上「3部リーグ」として運営されることになります。

(仮称)プレミアム 時価総額上位の大型成熟企業(例:80~170社)

アップダウン制度の

運営
(仮称)スタンダード KOSDAQ一般のスケールアップ(scale-up)企業
管理グループ 上場廃止の懸念、取引リスクのある企業などを隔離・別途管理

政府による改編の背景には、現在のKOSDAQは初期成長企業から成熟企業に至るまで、一つの市場に混在しているため企業間の格差が大きく、市場全体の価値評価が低く形成されているという問題意識が根底にあります。NAVER社・Kakao社・セルトリオン社のような優良企業がKOSPIへ移行したことも、こうした構造的な限界と関連しています。

プレミアム市場では、ガバナンス要件の強化、英文開示の義務化、代表指数連動型ETFの導入などを通じて、機関投資家の流入を誘導していく計画です。低業績企業については、株主価値の向上および上場廃止、並びに市場からの退出圧力を受けることになるでしょう。

政府においては、このために必要な資本市場法改正、取引所の上場規定改正、開示規定の改正を推進する予定です。

☞ How We Can Help

今回の資本市場およびKOSDAQ市場の再編に関連し、法務法人(有)世宗は、企業に対して以下のような法的・戦略的対応を支援していきます。

第一に、市場移動要件の検討および戦略の策定プレミアム区間への参入または維持のための要件(ガバナンス、開示、財務基準など)が具体化されれば、個別企業の現状診断とギャップ分析が必要となります。要件を満たすためのガバナンス改善ロードマップの設計が、核心的なアドバイス領域となります。

第二に、英文開示義務化への対応プレミアム市場上場企業に対する英文開示が強化される場合、英語翻訳の正確性と責任所在の管理が重要になります。開示ミスによる法的リスクを事前に遮断するための助言が必要です。

第三に、「下位市場への降格」リスク管理基準を満たせず下位市場へと降格された場合、機関投資家の離脱、株価下落、契約上の期限利益喪失条項の発動など、連鎖的なリスクが発生する虞があります。これに対し、先制的に備えることができる経営コンサルティングと法的検討が必要です。

第四に、「重複上場制限」と交差する課題の点検KOSDAQの再編と同時に推進される重複上場制限政策により、子会社のKOSDAQ上場を検討している企業は、上場戦略を全面的に再検討する必要があります。子会社における上場計画の適法性検討と代替構造の設計が、喫緊のコンサルティング課題です。

 

米国通商法301条の発動:韓国企業への影響

 

2026年2月20日に合衆国最高裁判所は、トランプ政権の相互関税(IEEPAに基づく)に対し、違法判決を下しました。しかしながら、韓国企業にとって「朗報」とは言い難い状況です。トランプ政権は判決当日、直ちに通商法第122条に基づく10%のグローバル関税を発動すると同時に、はるかに強力な武器である通商法第301条を持ち出したためす。

米国通商代表部(USTR)は3月11日、製造業の構造的な過剰生産問題について、韓国、中国、日本、EUなど16カ国を対象に調査を開始し、特に韓国に対しては、電子機器、自動車、部品、機械、鉄鋼などの分野における大規模な黒字について言及しました。また、強制労働に対する措置の不履行に関連し、USTRは3月12日付で中国、日本、EU、英国、ベトナムなど60カ国に対する調査に着手しました。

1. 301条は相互関税と何が異なるのか?

従来の相互関税は、国家単位で一律適用されます。一方、301条は産業別・品目別に差別化して適用することが可能であり、関税以外にも割当・懲罰的過料・サービス制限などの複合的な制裁が同時に活用されます。また、関税賦課の決定にあたっては、実態調査を通じて被害規模を算定する「正当化プロセス」を経るため、ひとたび関税賦課の決定が下されると、これを覆したり変更したりすることがそれだけ難しくなります。

中国商務部は、3月17日付の公告を通じて「米国の貿易障壁」に対する調査を発表しました。これは、米国の通商法301条に対する対抗措置の性格を明確にしたものとなります。ただし、中国のような対応を他国が取ることは難しいものと思料されます。

中国の場合、2つの点が異なります。第一に、世界経済に占める割合が米国に次いで2番目に高いことです。世界の総生産(GDP)に占める米国の割合は約25%、中国の割合は約18%です。第二に、代替不可能な交渉の切り札を持っています。中国は希土類や重要鉱物などを武器に、米国に対して交渉力を発揮します。トランプ大統領が一時、中国に対して145%の関税を課したものの、後退せざるを得なかった理由がここにあります。

区分 既存の相互関税(IEEPA) 通商法301条(新)
賦課単位 国家単位で一律適用 産業別・品目別に差等適用が可能
制裁手段 関税のみ可能 関税+割当+懲罰的過料+サービスの制限
法的根拠 連邦最高裁による違憲判決 議会制定法 → 司法審査を通過する可能性が高い
影響の範囲 輸出品目全般 特定の企業・産業へのピンポイント攻撃が可能


2. 韓国企業への示唆

3つの点に留意する必要があります。

第一に、「政府が何とかしてくれるだろう」という考えは危険です。

政府の意見書は外交的・政策的な論理であるのに対し、USTRが実際に調査の結論を出す際に説得力を持つのは、生産データ・稼働率・米国内の雇用への貢献度といった「事実に基づいた」証拠となります。これは企業のみが提出でき、資料や意見書を提出しなかった企業は、公聴会への出席の資格と反論の機会も同時に失います。

第二に、不十分な意見書はかえって毒となります。

提出された書面意見は、米国の移転価格税制に関する事前確認(APA)における法的記録として残され、今後の司法審査の根拠として活用されます。法的検討を受けずに提出することは、相当なリスクを伴います。.

第三に、競合国との比較構造も併せて考慮しなければなりません。

USTRは、日本・EU・中国側の意見書も併せて検討しており、同じ産業分野において韓国企業が不利な表現を用いる場合、その格差は直ちに関税水準の差につながる可能性があります。

☞ How We Can Help

301条への対応は、単なる通商問題ではありません。法的記録の管理、米国APAへの対応、公聴会における戦略、多国籍企業間の論理調整が複雑に絡み合った法務・戦略課題といえます。法務法人(有)世宗は、今回のUSTR 301条調査への対応に関連し、4つの役割を果たします。

第一に、意見書の設計企業別の生産構造を「過剰生産ではない」ことを法的に論証し、米国内への貢献(雇用・投資・納税)をUSTRの調査基準に合わせて定量化します。英文意見書の作成および法的記録管理まで一括してサポートします。

第二に、競合国との比較モニタリング日本・EU・中国企業における意見書の論理と、韓国側の論理の一貫性を管理します。不利な表現や譲歩的な文言は事前に修正・排除します。

第三に、公聴会戦略の策定5月5日付の公聴会での証言を準備し、反論意見書(公聴会から7日以内)の作成を支援します。また、反対尋問に備えたQ&Aシミュレーションも併せて実施します。

第四に、関税還付の検討:IEEPA違憲判決に基づき、既納関税の還付可能性について分析し、米国政府を相手取った訴訟対応へのアドバイス等を行います。

 

通商産業政策センター(Center for Trade, Industry and Public Affairs)
法務法人(有)世宗の通商産業政策センターは、単純な法律リスクを検討するだけでなく、企業において、急変するグローバル地政学・通商・産業環境を機会転換できるようにサポートする総合戦略コンサルティング組織となります。経済安全保障・輸出統制・関税等の各国における規制の影響を政策的コンテキストを通じて構造的に分析し、その中で企業の海外進出戦略・投資構造・供給網の再編、紛争解決に向けたソルーションを統合設計することがセンターの重要な役割です。防衛産業、エネルギー・インフラ、造船、バッテリー、半導体、AI等の戦略産業分野を重点的に取り扱い、米国・EU・中国の3大圏域をはじめとする主要国家における規制リスクの統合管理を行います。

 

[Korean version] 통상산업정책 뉴스레터