韓国 ビジネス・規制動向 Update

本ニュースレターは、韓国に進出または韓国企業との取引・投資を検討する日本企業の皆様に向けて、韓国の主要企業、産業、労働、日韓・南北関係に関する最新動向をまとめたものです。韓国ビジネスにおける通商・産業上のリスク把握、本社への報告および実務対応の一助となることを目的としています。

 

I. 財界

1. サムスンバイオロジクス、PolyPeptide公開買付けで最低応募条件を達成
 

サムスンバイオロジクスは、ペプチドCDMO大手PolyPeptide Groupの公開買付けの暫定中間結果を発表した。買収額は約14.6億スイスフラン(約2.7兆ウォン)で、国内製薬・バイオ業界のM&Aとして最大規模となる。 (出所:Samsung Biologics Newsroom、2026年10月13日、リンク)

2. SKハイニックス、OCP Global Summitでメモリ中心の次世代AIサーバーを提示
 

SKハイニックスは米カリフォルニア州サンノゼのOCP Global Summit 2026で、CXLプールドメモリを基盤とする次世代サーバーシステムを実機デモで公開した。CXL 3.2対応の第2世代CMM-DDR5(256GB)は、前世代比で帯域幅を2倍超、エネルギー効率を約30%改善している。メモリを中核とする「MARS」ラックシステムは、AMD・Marvellなどのパートナーと共同で実証した。 (出所:SK hynix Newsroom、2026年10月16日、リンク)

3. 現代自動車グループ、インドに2032年まで155億ドルを投資
 

現代自動車グループは、2026から2032年までにインドへ155億ドルを投資する計画を発表した。投資対象は生産能力の拡大、R&Dインフラ、現地サプライヤーの育成、将来技術です。執行を担う専門の投資法人もインドに設立する。インド国内の年間生産能力はすでに140万台を超えており、グループの輸出拠点としてのポジションをより明確にしている。 (出所:Hyundai Motor Group Newsroom、2026年10月13日、リンク)

4. LGエレクトロニクス、AIデータセンター向けチラーの生産を米国と韓国で拡大
 

LGエレクトロニクスは、米バージニア州ウィンザーに空冷式チラー工場を新設し、2027年上期の生産開始を目指す。国内でも平澤・昌原工場に生産ラインを増設し、投資総額は約1,500億ウォンとなる。チラーからCDU、コールドプレートまでの「Chip-to-Chiller」ソリューションで、北米のAIDC需要の取り込みを図る。 (出所:聯合ニュース、2026年10月1日、リンク)

5. ハンファ、米陸軍とK9の米国版「XM1776」を公開
 

ハンファ・ディフェンスUSAは米陸軍と共同で、AUSA 2026の会場でK9自走砲の米国版「XM1776 Mobile Tactical Cannon」を公開した。米陸軍は試作車9両を発注しており、さらに9両の追加オプションも付いている。アラバマ州オペライカに米国内の統合・試験拠点を設け、70社超のサプライヤーと現地調達網の構築を進める。 (出所:Hanwha Newsroom、2026年10月13日、リンク)

 

Ⅱ. 産業界のホットイシュー

1. HD現代・ハンファオーシャン・サムスン重工、世界最大のエネルギー展示会で韓国造船業界の未来をお披露目
 

HD現代グループの造船部門の中間持株会社であるHD韓国造船海洋と、ハンファオーシャン、サムスン重工業など、韓国の造船大手3社が、今月17日までタイ・バンコクで開催される世界最大のガス展示会「ガステック2026」に参加し、未来の船舶技術を披露する。また、展示会期間中に世界の船級協会から多数の技術認証を取得し、主要企業と業務協定(MOU)を締結する。(出所:週刊韓国、リンク)

2. 韓国・日本の造船協力が本格化…ハンファオーシャンが帆を掲げたLNG船を公開
 

日本政府が主要造船所に1兆8000億ウォンを超える補助金を投入し、LNG船の国内建造再開を推進する中、日本の海運会社は韓国の造船所の建造能力を活用して次世代の環境対応船を確保している。世界市場での存在感が薄れた日本が、自国の造船産業を再生させつつも、韓国の技術と生産能力を活用するという、競争と協力の構図が形成されつつある。(出所:韓経、リンク)

 

III. HR

1. 「黄色い封筒法」施行から7カ月、元請・下請交渉の妥結は460カ所中3カ所のみ
 

10月1日時点で、下請労組から交渉を求められた元請事業所は460カ所に上るが、妥結したのは現代製鉄、ハンガンEMP、JDCの3カ所にとどまっている。半数を超える238カ所は労組側が手続きを進めておらず、残りの事業所でも労働委員会の判断や再審が続いているため、交渉はなかなか進んでいない。(出所:韓経ビジネス、リンク)

2. 「改正産安法」適用で、1年以内に死亡者3人以上の企業36社に計9,494億ウォンの課徴金
 

10月1日に国会を通過した「改正産業安全保健法」は、1年以内に3人以上が死亡した企業に、営業利益の最大5%の課徴金を科せるようにした。過去の事故に当てはめた試算では、36社に計9,494億ウォンが科される可能性がある。(出所:文化日報、リンク)

3. 下請ストの際、元請社員による代替勤務は可能か ― 「黄色い封筒法」の新たな争点
 

元請が下請労働者の使用者として認められるようになり、下請ストの際に元請社員などを投入する「代替労働」が労組法第43条に違反するかが新たな争点となっている。元請・下請を一つの「当該事業」と看做すかについて労使の解釈が分かれている。(出所:朝鮮日報、リンク)

 

IV. 日韓/対北朝鮮関係

1. 日韓財務相、100億ドル規模の通貨スワップを3年延長することで合意
 

韓国と日本が、11月末に満期を迎える予定だった通貨スワップ(通貨交換)を3年延長することで合意した。 韓国の財務省の説明によると、李副総理兼財政経済部長官と片山財務大臣は、最近両国の為替当局が十分な外貨流動性を確保しているという認識で一致する一方で、日韓の金融協力と協調の象徴として通貨スワップが持つ重要性を考慮し、このように合意に至ったという。(出所: 聯合ニュース、リンク)

2. 李大統領「10・4南北首脳宣言の精神に立ち返ろう」
 

李在明(イ・ジェミョン)大統領は、「私は先日、互いを尊重する『包容的な平和共存』、戦う必要のない『安定的な平和共存』、そして世界平和に貢献する『責任ある平和共存』という3つの青写真を国民と国際社会の前で明らかにした」とし、「これは10・4宣言が抱いていた精神を今日の言葉で表現し直した、平和と繁栄の青写真である」と述べた。(出所:朝鮮日報、リンク)

 

Shin&Kim Insights

法務法人(有)世宗(Shin & Kim)が直近1か月に発表したニュースレター・リーガルアップデート等のうち、韓国に進出または韓国事業を展開する日本企業の皆様にとって実務上の影響が大きいと考えられるテーマを厳選してご紹介します。

1. 談合規制の抜本的強化-反復談合による営業停止やリーニエンシー減免の縮小等
 

政府・与党は、安全・エネルギー・環境・運送分野の17業種で5年以内に2回以上談合した事業者について、登録取消や営業停止を要請できる制度を推進している。施行令改正案では、調査開始後の1順位自主申告者の課徴金減免が全額免除から75%減軽へと縮小される。合併・営業譲受などで事業を承継した者も減免の対象外になる。韓国に進出する日本企業にとって、M&A時の対象会社の談合・制裁歴に関するデューデリジェンスと、自主申告の迅速な意思決定体制の整備という点で実務上の留意が必要となる。 (出所:Shin & Kim、2026年10月16日、リンク)

2. 「AI基本法」「データ産業法」改正案が閣議通過―政府事業のAI学習データの提供を義務化
 

改正AI基本法案は、政府事業の遂行過程で構築・生成されたAI学習用データを「AIハブ」に連携・提供するよう義務付けている。営業秘密や個人情報などに当たる場合の例外は、大統領令で定められる。施行は公布の6か月後(2027年4月予定)の見込み。韓国に進出する日本企業にとって、韓国政府のR&D事業などに参加する際のデータ管理と営業秘密保護の点で実務上の留意が必要となる。 (出所:Shin & Kim、2026年10月16日、リンク)

3. Global Tax Brief Vol.2-2026年税制改正案(国際租税分野)と最新判例
 

国会に提出された2026年税制改正案のうち、国際租税分野の改正内容をまとめたものである。営業利益率に連動する精算金が使用料所得に当たるかを争った大法院判決や、海外子会社の移転価格課税をめぐる審判決定例も取り上げている。韓国に進出する日本企業にとって、日本本社と韓国法人の間の移転価格やロイヤルティ取引の点で実務上の留意が必要となる。 (出所:Shin & Kim、2026年10月19日、リンク)

4. 機関投資家の株主エンゲージメントが本格化-企業の先制的な対応システム
 

2026年9月10日から、資産総額2兆ウォン以上の上場会社は定款で集中投票を排除できなくなった。全面改正されたスチュワードシップ・コードは2027年1月1日に施行され、エンゲージメントの範囲がESG要素にも広がる。韓国上場子会社を持つ、または韓国上場企業への投資を検討する日本企業にとって、取締役会レベルの対応原則と年間を通じた投資家対話体制の整備という点で実務上の留意が必要となる。 (出所:Shin & Kim、2026年10月13日、リンク)

5. 政府のAIデータセンター・メガプロジェクト-ビジネスチャンスと法的リスク
 

AIデータセンター産業振興に関する特別法は2026年6月9日に制定され、2027年3月10日に施行される予定。許認可の一括処理や、期限内に拒否通知がなければ処理完了とみなすタイムアウト制などが導入される。ただし、具体的な基準は下位法令に委任されており、特例の適用を前提に投資スケジュールを確定すべきではないとしている。韓国に進出する日本企業にとって、冷却・電力機器の供給やEPC参加時の電力確保、契約上の責任配分、輸出管理の点で実務上の留意が必要となる。 (出所:Shin & Kim、2026年9月29日、リンク)