韓国環境部は2020年11月9日、化学物質安全情報除外対象に対する承認手続について定めた「化学物質安全情報除外対象の承認に関する規定」を告示しました。本告示は、2018年12月28日付で新設(2021年1月16日施行)された「化学物質の登録および評価に関する法律」(以下「化評法」といいます。)施行規則第35条の2に対する後続の立法として、化学物質安全情報提供の除外対象についての承認申請手続、承認の如何に対する審議および通知、審議結果に対する異議申立てに関する内容を定めており、2021年1月16日より施行されます。

本告示が2021年1月16日から施行されることにより、化学物質の流通時に譲渡人が譲受人に対して提供する化学物質安全情報において、営業秘密に当たる化学物質の構成成分または含有量等についての情報を開示しないためには、「環境部長官の承認」を得なければなりません。
 

1. 環境部長官の承認を得た場合に限り営業秘密に当たる化学物質安全情報の非公開が可能

化評法上、登録または申告された化学物質、またはこれを含有している混合物の流通時に、譲渡人は譲受人に対して、該当化学物質の登録番号、名称、有害性および有害性に関する情報、安全使用情報等の化学物質安全情報を提供するのが原則です。ただし、化学物質安全情報が営業秘密に該当する場合には、情報提供の対象から除外されます(化評法第29条および同法施行規則第35条第2項)。

2018年12月28日に化評法施行規則第35条の2が新設される前の化評法の規定は、有害化学物質の場合、全ての化学物質安全情報を提供しなければならないものと定めていましたが、有害化学物質以外の化学物質に対しては、営業秘密に該当する化学物質安全情報は提供しなくても良いものと定めていました。そのため、有害化学物質以外の化学物質の場合、営業秘密に当たるか否かにつき譲渡人が恣意的に判断することとなり、化学物質安全情報の伝達が十分に行われないという指摘がありました。

これにより、化評法施行規則第35条の2が新設され、基本的に健康有害性または環境有害性があるものと分類される化学物質は、化学物質安全情報除外に対する環境部長官の承認を得る場合に限り、化学物質安全情報提供義務を免除するものの、かかる物質が、有害化学物質、または人や動物に癌、突然変異、生殖能力の異常を引き起こしたり、引き起こす虞のある物質(CMR物質)として、物理的危険性、健康有害性または環境有害性があるものとして分類される化学物質*の場合、必ず化学物質安全情報を提供するように改正されました。

*物理的危険性、健康有害性または環境有害性があるものとして分類される化学物質:化評法施行規則第10条第3項[別表7]化学物質の分類および表示内容規程

したがって、有害化学物質またはCMR物質のうち、物理的危険性、健康有害性または環境有害性があるものと分類される化学物質以外に、「健康有害性または環境有害性があるものと分類される化学物質」の場合、化学物質安全情報において、営業秘密に該当する化学物質の構成成分または含有量等についての情報を開示しないためには、「環境部長官の承認」を得なければなりません。
 

2. 承認申請手続、承認の如何に対する審議手続および異議申立手続の規定

今回告示された「化学物質安全情報除外対象の承認に関する規定」は、化評法施行規則第35条の2に基づく化学物質安全情報除外対象に対する承認申請手続、承認の如何に対する審議および通知、審議結果に対する異議申立てなどについての内容を具体的に定めました。

化学物質安全情報除外対象承認の申請時において、申請者は、環境部に承認申請書と共に除外対象承認申請リスト、承認申請事由書を提出する必要があり、事由書に対する疎明資料として、かかる情報が営業秘密に該当することを立証できる資料を添付しなければなりません。

環境部長官は、申請者から承認申請を受け付けると、情報提供審議委員会にかかる申請に対する審議を要請し、情報提供審議委員会では、化学物質の構成成分、含有量等の情報が「不正競争防止および営業秘密保護に関する法律」第2条第2号による営業秘密に該当するか否かを考慮し、承認の如何を決定します。審議にかかる法定期間は30日と定められていますが、疎明資料により営業秘密に該当することが明確に立証されない場合、補充過程を経てさらに期間がかかることがあります。

申請者は、通知を受けた審議結果に異議がある場合、その通知を受けた日から15日以内に異議申立てを行わなければなりません。環境部長官は、異議申立書が提出されると、遅滞なく、情報提供審議委員会に異議申立てに対する審議を要請しなければならず、情報提供審議委員会では、営業秘密に該当するか否かに対する再審議の過程を経て、承認の如何を改めて決定することになります。
 

3. 化学物質安全情報の営業秘密該当要件に対する疎明の必要

化学物質安全情報除外対象に対する承認は、該当情報が「不正競争防止および営業秘密保護に関する法律」第2条第2号に基づく営業秘密に該当する場合に限って認められます。

「営業秘密」とは、公然と知られておらず(非公知性)、独立した経済的価値を有するものとして(経済性)、秘密として管理された(秘密管理性)、生産方法・販売方法、その他営業活動に有用な(有用性)技術上または経営上の情報を意味します。すなわち、①非公知性、②経済性、③秘密管理性、④有用性の要件がいずれも満たされなければなりません。

  1.  「非公知性」とは、化学物質安全情報に対する非公開申請の開始時を基準として、情報が国内または外国において出版物、刊行物、インターネットなどの媒体に掲載されるなど、不特定多数の者に知られていないため、所有者を介さずにはその情報を通常入手できない場合をいいます。これについては、(i)該当情報が業者の内部または外部の同一産業内において知られている程度、(ii)情報取得の容易性等に関してまとめて判断されます。
     
  2.  「経済性」とは、申請者が秘密として情報を所有および管理する正当な利益または経済的価値があることをいい、これに対する判断は、客観的に行われることになります。「経済性」については、(i)該当情報の処分可能性および経済的対価の有無、(ii)該当情報の開発のための人的・物的、有形・無形の努力がなされたか否か、(iii)企業の競争上における価値の有無等を基準として判断されます。
     
  3.  「秘密管理性」とは、営業秘密を所有している申請者が、営業を行うための目的で該当情報の開示を制限し、かかる申請者の従業員または外部の第三者が認識できる程度に秘密として管理される状態が客観的に維持されることをいいます。秘密として管理される状態にあるか否かについては、(i)該当情報に対する一定の者以外の者にはアクセスが制限されなければならず(アクセス制限)、(ii)アクセスする者に対しては、秘密保持者の意図に反して秘密を使用または開示しない義務を与える等の管理が存在しなければならず(守秘義務の賦課)、(iii)特定の情報が営業秘密に該当するということを認識できるようにしているか否か(秘密の特定)などを基準として判断されます。
     
  4.  「有用性」とは、法的保護価値のある客観的・社会的な必要性が認められる範囲において、生産活動、販売活動、研究開発等の営業活動の全般に具体的に活用される情報を意味します。ただし、申請者が、該当情報を秘密として維持・管理しても、それが既に当該事業内で公然と知られていたり、特に、競合事業者がこれを知っていたり、制限なく入手できるのであれば、その情報は、有用性を失ったものと判断されます。

申請者は、化学物質安全情報除外対象承認の申請時において、自ら該当情報が営業秘密に当たることを立証しなければなりません。このような立証が明確に行われない場合、補充過程が生じる等して承認審議期間が長くなることがあり、さらには、承認拒否となることもあり得るという点に留意する必要があります。

法務法人(有)世宗の環境チームは、化学物質の登録および評価、化学物質管理等の化学物質に関する様々なアドバイスを提供させて頂いております。上記内容につき、お問い合わせやご質問等がございましたら、下記の連絡先までご連絡ください。より詳細な内容について対応させて頂きます。
 

[日本チーム]
TEL. 02 316 4114       E-Mail. jpg@shinkim.com

※ 法務法人(有)世宗のニュースレターに掲載された内容および意見は、一般的な情報提供の目的で発行されたものであり、ここに記載された内容は、弊社の公式的な見解や具体的な事案についての法的な意見ではないことをお知らせ致します。