[1]供給認証書の発給および取引市場の運営に関する規則改正案の立法予告

固定価格の入札制度は、競争入札を通じて選定された再生可能エネルギー発展事業者がRPS義務供給者と20年間固定となった価格により、REC(新再生可能エネルギー供給認証書)を供給する契約を締結する制度として、現在は太陽光発電についてのみ適用されています。

韓国エネルギー公団新再生エネルギーセンターは、2022年8月3日付で『供給認証書の発給および取引市場の運営に関する規則』の一部改正(案)(以下「改正案」といいます。)を立案・予告しました。改正案は、風力の固定価格契約の競争入札制度新設に関連する内容を盛り込んでおり、2022年8月17日(水)までに意見取り纏めの手続きを経た後、準備期間を通じて第3四半期(7~9月に当たる)内に入札が行われる予定となっています。

 

[2]改正案の主な内容

条項 区分 内容
第62条 競争入札選定公告の基準 • 風力固定価格契約の選定公告に関連する事項
第63条
第64条
競争入札委員会 • 争入札委員会の構成および運営方案に関する指針
第65条
別表3の2
入札参与書の評価基準 • 計量評価(入札価格):60点
• 事業内訳書の評価:40点
(i) 住民受入性:10点、(ii) 産業経済効果:20点、
(iii) 国内事業実績:4点、(iv) 事業進行度:2点、(v) 系統受入性:4点
第66条 競争入札事業者の選定 • 競争入札事業者の算定基準および容量配分についての基準
第67条 供給認証書の売買契約の締結 • 選定結果を通知した後、2箇月以内に供給認証書の売買契約を締結する
• 契約日(契約日以降に商業運転を開始した場合には、商業運転開始日)から20年間維持する
第68条 設備の設置期間 • 売買契約締結日から24箇月(海上風力の場合36箇月)以内に使用前検査の完了義務(一定の場合には延長可能)
第69条 競争入札の参与制限 • 期限内に売買契約を締結しない場合、期限内の使用前検査を完了できない場合等には競争入札への参与制限

 

[3]示唆点

現在、太陽光発電に限って適用されている固定価格契約の競争入札制度が、風力発電にも導入されることにより、風力発電事業の収益性が安定するとともに、プロジェクト・ファイナンスの調達が容易になるものと期待されます。ただし、エネルギー危機により、SMPおよびRECの価格が上昇している趨勢であることを考慮すると、現物市場に比べ、固定価格契約の競争入札市場が有する「収益の安定性」というメリットは多少薄れてしまう可能性があるものと思われます。

固定価格契約を締結した選定事業者は、契約締結日から24箇月(海上風力は36箇月)以内に、使用前検査を完了しなければならず、海上風力の長期間に渡る開発期間を考慮すると、使用前検査の完了期限が多少短いという懸念が挙がっています。

なお、風力業界は、原材料の価格と運送コスト等の急増している開発コストを考慮し、事業性の保障ができるように入札の上限価格が相当水準に達するべきであるという立場を取っています。未だに、最終の確定(案)が出ていない状態であるため、入札の上限価格等の業界における要求事項が最終確定(案)に盛り込まれるか否かについて、見守っていく必要があるものと言えます。

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